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物語る門と暦の壁 [フランス・パリの外]

 こんにちは。

 こうしてここにいられることを、とてもうれしく思います。

 また、ここに来られますように。

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 ・・・と、旅先では、必ずと言っていいほど、そこにある大聖堂教会に行ってご挨拶。
 昔Kamoさんに ドイツのケルン大聖堂を見せてもらったのが始まり。
 その時は、その大きさに圧倒されて、細部まで見る余裕もなかったな・・・。

 話は、前回の続き。 9月下旬に、パリからに向かって訪れたアミアンでのこと。

 世界遺産アミアンノートルダム大聖堂を見るのが主な目的。
 なので、外側もじっくり拝見。

 像の建つサン・ミシェル広場から、ガーゴイルを見ながらそのまま真っ直ぐ歩いて来ると、
 大聖堂の南翼廊への門の前を通る。 横から見た姿もなかなかカッコいい。

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 その門は、Portail de la Vierge Dorée ・・・黄金の聖母のポルタイユ・・・かな。 

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 これが、黄金の聖母の像。 子を抱いて、にっこり笑顔。 周りに3人の天使。 

 細部を見ると、薄ら金色なのが分かる。 でもこれは複製品なんだそう。
 13世紀に造られたオリジナルは、大聖堂の中にあるとか。

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 左側に並んだ人たち。 顔がふっくら気味で、特に左の人が大仏さまっぽい。

 足の下には、カラスのような鳥がいたり、人の頭を押さえつけてる人がいたり・・・。

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 この通りには、レストランやブラッスリーなども並んでた。 

 夏のバカンス時期は、きっと、かなり賑わうんだろうな。

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 その左側の小路。 壁に取り付けられた街灯が、ずっと奥まで。 なかなか魅力的。

 ふら~っと吸い込まれそうになるけど、ノートルダム大聖堂を先に見ないとね。

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 ノートルダム大聖堂の前の広場。 
 両端に、デザインが気になる建物もある。 後で近寄って見なきゃ。

 このまま、正面に見える建物の前まで行って、後ろを振り返ると・・・

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 ・・・どーんと、大聖堂の正面。 後ろから太陽の光を浴びてるので、暗いけど。

 左と右のの高さが違い、左のほうが高い。
 の間に、バラ窓。 その下に、22人の王様の並ぶギャラリー
 そして、ここも3つ正面入り口(ポルタイユ)がある。

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 近寄って下から見上げると、ラッパを吹く天使と、ギャラリーの王様たちが重なって見える。

 ラッパを吹く天使は、中央のポルタイユの屋根の上にいるんだけどね。

 あら・・・王様たち、体の割にすごく頭がデカイ。 
 下から見上げてるせいかなと、離れて見たけど、やっぱり4頭身~5頭身ほど。

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 大聖堂正面中央の Portail du Jugement dernier 最後の審判のポルタイユ

 この時は、まだパリノートルダム大聖堂の記事を書く前で、ポルタイユについての予備知識もなく、
 詳細もあまりよく分からず、気になるとこだけ撮っていた・・・。

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 一番下の段では、天使たちの吹くラッパの音で、死者たちが棺桶の中からよみがえり、
 中央にいる大天使ミカエル天秤で魂を量ってる。

 その天秤の右下に悪魔がいて、こっそり天秤皿に手をかけて悪い方に傾くようにしていたり。
 ダメだよ~、そんな不正行為しちゃ。

 中段の左は天国に行く人たち。 右部分では、服も着せてもらえず地獄行きとなった人たちが、
 悪魔につれられ怪物の口の中へ・・・。

 一番上の段では、ひざまずく聖母マリア聖ヨハネの間に、手を上げるキリストが。

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 正面向かって右側には、Portail de la Mère-Dieu ・・・神の母のポルタイユ・・・かな。

 半円部分のティンパヌムには、聖母の死と天国での戴冠式。
 注目したのは、扉と扉の間にある聖母子像。 何か踏んでる。

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 足元には、ほら、こんな生き物。 人間の頭を持つ怪物。 

 これ、パリでも見たことがある!と思わず撮った。
 場所は、シテ島にあるサント・シャペル
 (その写真があるのは、こちら「下の階もね・・・と、パリの夏」

 で、その怪しげな生き物の下には、イヴの誕生の様子や、さらに下には・・・

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 ・・・アダムイヴ禁断の果実の実。 蛇の体の女性が木に絡まりついている。

 パリノートルダム大聖堂や、
 シテ島サント・シャペルアダムとイヴと比べて見るのも面白いかも。

 先日のパリノートルダム大聖堂のお話は、こちら「変わらないもの、変わるもの」

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 大聖堂の外壁には、可愛い花模様みたいなのも。 これがまた、部分によって微妙に異なる。

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 モヒカン頭の男が、もう1人の上に乗って、耳をつかんでる・・・。

 こんな悪そうな感じのふたりの後ろにも、お花の柄。

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 正面左側の門は、Le portail Saint-Firmin サン・フィルマンのポルタイユ

 サン・フィルマン・・・って、もしかして、スペイン語で言うサン・フェルミン

 で、調べたら、当たり。 
 その聖人はスペインパンプローナで生まれ、ここアミアンで亡くなったよう。
 アミアンノートルダム大聖堂の初代の司教さま。

 で、パンプローナといえば、あの牛追い祭りサン・フェルミン祭。 

 7月7日が聖人サン・フェルミンの日。 
 この日から14日まで、街の中を牛と人が走るEncierro エンシエロというのがある。
 牛は10頭だったかな、その中には600kgを軽く超える牛もいて、
 牛の角に突かれたり、牛に踏まれたり・・・で、ケガ人続出のお祭り。
 毎年、我が家は朝TVで生の実況中継を観るのが恒例。

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 左側には、手にを持った人が2人・・・。

 そんな姿の聖人は、パリ聖ドニが頭に浮かぶけど、このふたりは違うみたい。
 左の人が、Saint Acheul 聖アシュウル、右の人が、Saint Ache 聖アシュなんだとか。

 聖人も数が多くて、よく分からなくなってくる・・・。

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 このポルタイユの壁には、生き物がたくさん。 どうやら、これは、黄道12星座だったみたい。
 wikipedia に書いてあった。

 ポルタイユの右側の壁、上の段左から、山羊座、水瓶座、魚座、牡羊座、牡牛座
 写ってないけど、あと双子座がある。

 それらの星座は1年を意味し、下には、その月にする仕事の内容が。
 山羊座(12~1月): 肉を塩漬けして保存食作り。
 水瓶座(1~2月): テーブルに食事の用意。 中央の2つの顔を持つヤヌス神は旧年と新年を象徴。
 魚座(2月~3月): 焚き火で魚を焼いて自分も暖を取り、いい季節を待つ。
 牡羊座(3月~4月): 戸外での作業を再開し、まずは葡萄の木の仕事から。

 ・・・という感じで、鷹狩、植物の再生(葉っぱの下で休んで鳥の声を聞く)と続く。

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 ポルタイユの左側の壁には、左2つ目から、蟹座、獅子座、乙女座・・・と射手座まで続き、
 同様に、その下には作業内容が。

 草刈り、穀類の収穫、脱穀、葡萄の収穫、ワインの仕込み、種蒔き。

 ということは・・・

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 ・・・これって・・・蠍座だったんだ・・・。 サソリって、こんなイメージだったのね。
 これを見た時は、サッパリ何だか分からず、怪しげな爬虫類だな、と思ってた。

 でも、昔の人の作った目で見て分かる農作業の暦、これは便利かも。

 大聖堂の装飾って、見れば見るほど面白さが増してくる。

 

日本の神社仏閣も、他の国の人たちの視点からだと、
きっと何だろう?ってそそられるものがあるのかもしれないな。
 


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コメント 18

pace

悪魔に悪いことするなも説得力にかけるような(笑)
by pace (2011-11-04 15:34) 

luces

とても手の込んだ壮麗な装飾群、良く見ると素朴で可愛です。
天邪鬼とか日本の仏像でも踏みつけられている怪物は良い表情をしていますね。
by luces (2011-11-04 19:49) 

pistacci

細かい装飾にはこういうさまざまな意味が込められたものが
彫ってあったのですね。
せっかちだから、中に入ることに気がせいて、ちゃんと見たことなかった・・。
by pistacci (2011-11-04 21:43) 

てんとうむし

私はうお座だから、えーと「焚き火で魚を焼いて自分も暖を取り、いい季節を待つ」時期なのね。
なんか気に入った(笑)
にっこり笑顔の聖母も愛らしくていいなぁ。
ポルタイユって、見どころたくさんあるのね。
いつか行く機会があったらじっくり見てみよう♪
by てんとうむし (2011-11-04 22:01) 

HIROMI

よくもここまで細かい作業を。
神への愛ははてしないなあ…
by HIROMI (2011-11-04 22:59) 

めぎ

この花模様、面白いですね♪
蠍座の農作業はなんだったのかなあ・・・
by めぎ (2011-11-05 06:16) 

母ちゃん

本当に立派な建物ですよね~。どうやったらこんな精密に作れるのかって思います。
by 母ちゃん (2011-11-05 07:23) 

JF

教会や神社に行く時に その場所に こんにちはって挨拶するのは、とても良いそうですね(^^)
それにしても、美しい場所ですね。歴史もずっしりと感じられます。
by JF (2011-11-05 09:57) 

ami

凝った彫刻が見事ですね。昔の人の技術は素晴らしいです。

by ami (2011-11-05 19:30) 

バニラ

大聖堂正面中央、すごいですね~
最後のさそり? 変な亀と思ったのですが…
by バニラ (2011-11-06 10:58) 

アールグレイ

大聖堂の門の前だけでも、すごく見ごたえありますね。
聖母子の像は美しく
天使の像もそれぞれに違っていて、一つ一つに意味があるみたいです。
下の方の奇妙な生き物も、存在感があって
何かを訴えているかのようです。

by アールグレイ (2011-11-06 15:50) 

miffy

黄金の聖母の微笑み、アルカイックスマイルみたい。
4〜5等身の像もそうだけど、全体的にユーモラスな顔をしてる像が多いですね。
綺麗すぎて完璧なものよりもなんとなく親しみがもてます。
同じテーマでも作られた時期や人によってちょっとづづ違っているのも面白いですね。
by miffy (2011-11-06 18:22) 

カエル

細かい彫刻ですねぇ。登ってじっくり見てみたいなぁ。ギリシャ神話でも人間の顔を持つ動物が踏み台になっていたような気がします。キリストの神話なのかなぁ。こうやって説明してもらえると、嬉しいなぁ。
by カエル (2011-11-07 00:58) 

Inatimy

→皆さま 
『物語る門と暦の壁』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 肌寒い今日、午後2時現在外の気温は11℃・・・これからパン買いに行かなくっちゃいけないのになぁ・・・と、今から億劫がってちゃ、真冬、どうする・・・・。

→paceさま 
あ、そうか、悪魔ですもんねぇ・・・ちゃんと悪魔としての役目を果たしてるだけなのか・・・ふふ。

→lucesさま 
踏みつける側と踏みつけられる側、彫刻もそのバランスまで考えて作ってるんでしょうね~。 見てていろんな姿や表情仕草があるので、次々と目で追ってしまいます♪

→pistacciさま 
ふふ、分かってて外を鑑賞してたら凄いところなんですが、私の場合、奇妙なもの、可愛いものを探しながら見てたので、記事書きながら調べてて仰天でした。 そういう意味があったのか~って。

→てんとうむしさま 
たき火で焼くならどんな魚がいいかしらね。 豪快に鮭とか? ポルタイユ、なかなか奥が深そう。 今度どこかの大聖堂行ったら、ちゃんと3つ見どころを撮らなきゃなぁ・・・。

→HIROMIさま 
神への愛、子供への愛、家族への愛・・・愛の力は、スゴイものですね~。

→めぎさま 
蠍座というと10月~11月で射手座の一つ前だから、記事に書いた順番で行くと、「ワインの仕込み」です♪ 

→母ちゃんさま 
パソコンのソフトのエクセルもなく、計算機もなく、そろばんもなく・・・計算して数字を出すの大変だったでしょうねぇ。 図面書くもの一苦労かな。

→JFさま 
アミアンは、ガイドブックでの街の紹介はほんの見開き分のしかなかったけれど、世界遺産の大聖堂ある、いい街でした。 あとで出てくるんですが、現在の街の様子も可愛くて。

→amiさま 
何人の彫刻家が働いていたんでしょうねぇ。 今なら、機械で、プログラムして、って大量生産出来ちゃうけれど、ひとつひとつ手で、ですものねぇ。

→バニラさま 
ぱっと見では、サソリって分かんないですよね、この姿じゃ。 まさか、昔のサソリはこの姿が主流で、今では絶滅した種類・・・なんてこと、ないですよね。

→アールグレイさま 
外壁のガーゴイルに3つの門+南側の横の門で、なかなか中に入れなくって。 何だろう、と分からなかったので12星座全部撮ってなくって・・・ちゃんと全部撮れば良かったなぁ。 

→miffyさま 
いろんな姿や仕草、表情、顔つきがあるのは、世の中と同じで、ますます身近に感じますね~。 作った人も楽しんでたのかな。 どこにどんな像を配置するのかも計算に入れたうえだったのかしらね~。 素晴らしい♪

→カエルさま 
出かけると、知らないことがたくさんあって、カメラで記録です♪ こういう細かい装飾を見るのは、やっぱりズームの優れたものがいいですね~。 この先、まだ大聖堂の中も山ほど撮りました・・・。
by Inatimy (2011-11-08 22:29) 

りゅう

立派な大聖堂、見応えありますね!
先日、聖母マリア関連の本を数冊読んだところなので、
ノートルダム大聖堂、興味津々です。
じっくり時間をかけて堪能したいです♪(^_^)
by りゅう (2011-11-13 22:23) 

Inatimy

→りゅうさま 
「大聖堂」ってドラマのお話も記事にされてましたものね。 聖母マリア関連の本を読んで詳しくなったら、また違って見えてくるかもしれませんね~。 きっと私には見えてこなかった歴史があるんだろうな~。
by Inatimy (2011-11-14 20:53) 

ネム

サソリがツチノコみたい…!
それにしてもすごい彫刻群ですね。圧巻です…☆
by ネム (2011-11-22 01:25) 

Inatimy

→ネムさま 
これだとホント、蠍座じゃなく、ツチノコ座になってしまいますよね~。  彫刻の数がすごくって、上のを見てると首が痛くなってくるほどでした。 しかも迫って来るような凄さ。
by Inatimy (2011-11-23 21:13) 

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