ビーチの前に教会へ [フランス・パリ]
光のきらきら。
天使も見てる。
8月中旬に差しかかった頃、
セーヌ川沿いのパリ・プラージュに行く前に寄り道した時のお話。
最高気温29℃の日。 最初の目的地はLes Halles レ・アール。
メトロの駅から地上へ出て、HEMAで買い物してから向かったのが、
おなじみÉglise Saint-Eustache サントゥスタッシュ教会。
アメリカの芸術家 Keith Haring キース・へリング(1958-1990)のトリプティークがあった。
"La Vie du Christ" 1990 ・・・『キリストの生涯』?
白銀の色付けをしたブロンズ製。
以前は無かったけど、単なる展示じゃなく、ずっと置かれるのかな・・・?
教会の中で見る光は、特別のような気がする。
その下に自分が立つのは恐れ多くて、近くにも寄れない。
自分自身が照らされるより、こんな風に椅子に光が当たっているのを見るのが心地いい。
何か弾いてると思ったら、パイプオルガン。
手元にも足元にも鍵盤。
ズラリと並んだ白くて円い取っ手のようなものは音色を変えるストップというものらしい。
譜面台の下にはデジタル表示の緑の文字も見える。 今の時代、遠隔操作できるんだ・・・。
高い天井、装飾、絵画、像・・・じっくりと見てるわけでなく、ただなんとなく眺め歩いてるだけ。
それでも、ステンドグラスを通る色光が絵にかかるのを見ると、
思わず立ち止まってしまう。
何度も来ている教会だけれど、こんな瞬間に出会えるのは、そう多くない。
季節や時間帯が違ったりで光の差す加減も変わってくるから。
教会を出て・・・
・・・通りに面したお店で、海老、カニに目が釘付け。
テイクアウト用の魚介類みたい。 黄色いのはレモン。 下の籠には牡蠣もありそう。
隣は、豚の足という名のブラッスリー。 木漏れ日がちらちら。
そして、突き当たった道を南下。 商品取引所の横を通り・・・
・・・壁に注目。 弧を描くようにそびえたつ。 これは、城壁の塔の名残。 塔の内側部分。
1190~1670年、街をぐるりと囲むようにあったのが、
Enceinte de Philippe Auguste フィリップ・オーギュストの城壁。
なんでもフィリップ2世という王が、
第3回十字軍の遠征による自分の不在中の街を守るために作らせたんだそうな。
当時のパリは今ほど大きくなかったので、わりと街の中心部に城壁の一部が点在する。
城壁の高さは8~10m、長さ5km、厚み3mで、直径6mの塔が約70個あったとか。
で、そのまま南下し続けると・・・
・・・ルーヴル美術館の東面に出てくる。
快晴の青い空の下、車のガラスに反射する光がまぶしい。
周りを歩く人を見てると、帽子をかぶる人は少ないのに、サングラス率は高いなぁ。
ルーヴル美術館の北東角あたりにある教会も気になるところだけれど・・・
↑ Temple protestant de l'Oratoire du Louvre
・・・この日は、こちら。
Église Saint-Germain-l'Auxerrois サン=ジェルマン=ロクセロワ教会。
お隣は、Mairie du 1er arrondissement 1区の区役所。
どちらも、以前ルーヴル美術館の窓から見て、気になっていたもの。
鐘楼の正面には時計。 文字盤を星座の像が囲む。
南面には、気圧計。 1862年のもののよう。 それでもメンテしてるのかちゃんと機能。
その気圧計の下には・・・
・・・聖人らしき人がいて、天使がじっと見つめてる。 無言の語り合い。
中に入ってみた。 ここにも大好きな座編みの椅子がたくさん並ぶ。
顔だけ天使のいる聖水盤の前を通って、反時計回りに。 側廊を歩いていくと・・・
壁に時計が。 下に書かれている言葉は、ラテン語のよう。
"vigilate quia nescitis diem neque horam"
「目を覚ましていなさい、あなた方はその日その時間を知らないのだから。」
"vigilate itaque quia nescitis diem neque horam"
・・・というのが、マタイによる福音書25章13節にあるみたいだけれど、
そのようなことを言ってるのかな。 itaque の有無の違いって、大きい?
彫刻やフレスコ画、美しいものいろいろ。
天井からさがるランプの光が、薄暗い教会の中を導いてくれる。
交差するリヴ・ヴォールトの天井が作る空間っていいな。
教会一番奥には3つのステンドグラス。 どれもキリストの生涯が。
中央のは、シテ島にあるサント・シャペルのステンドグラスのキリストの受難の模倣で、
1838年のものらしい。
キャンドルの灯りもホッとする。
砂にハート型。 こころの中央にも灯。 皆が求める安らぎ。
主祭壇の上には、さらに細やかなブルーのステンドグラス。
求めるだけじゃなく、感謝の気持ちも忘れないでおこう。
献金箱もアート。 こちらへお願いしますね、と二人の天使の手が語る。 なんとなく入れたくなるね。
で、落雁のお菓子のような花の柵の向こう、天使の像を見て・・・
↑ この記事の一番最初に持ってきた写真
・・・外へ出た。
中央のポルタイユ(門)には、柱に中央に幼子イエスを抱いた聖母マリア、両側に聖人3人ずつ。
他にも、あちこちに彫像が立つ。
南側の天井を見上げると、最後の晩餐も。
光に力があると感じるのは、誰も同じのよう。
天照大神や、ギリシャ神話のヘリオスに、エジプト神話のラーなどなど、
太陽の神さまは国を問わずあちこちに存在するし。
陽の光は体内でビタミンDを作るのに必要で、骨を丈夫にするらしい。
日の長い夏に太陽の光をいっぱい浴びてパワーをもらい、
欧州の人々は長く薄暗い冬を乗り越えていくんだなぁ・・・と妙に納得して、
このあと、パリ・プラージュを見たのでした。
ソーラー・エネルギーは偉大だな。
4枚目の写真が素敵だわぁ~♪
東京は急に秋っぽくなってきましたが、そちらはどうですかぁ?
by ぴーすけ君 (2012-09-25 21:20)
自分が同じところを歩いたら、こんなにいろいろなところに気づかないだろうと思うのですが、Inatimyさんの記事を読ませていただくときには、なんだか魔法にかかったみたいに写真に見入ってしまいます。写真も綺麗だし、ことばも、それを紡ぎ出すInatimyさんの繊細な感性も素敵です。教会の中で見る光、ほんとうに魅力的ですね。
by stellaria (2012-09-25 21:36)
教会の中は厳かで、その中に入ってくる光は
神聖な気持ちになりますね。
ステンドグラスの色とりどりの光がまた素敵です。
青い空にそびえる教会の建物も、いいですね^^
by アールグレイ (2012-09-26 10:55)
教会の装飾もそれぞれ個性的で美しいですね。
気圧計の文字盤がかっこいいです。何に使うのでしょう。天気予報かな。
by luces (2012-09-26 11:46)
あの暑かった時期が嘘のようにすっかり秋になりましたね。
今日は冷たい雨が降っています。
こういうときに教会に行っても光は見えないんですけど、でもこういうときこそ光が欲しくなりますねえ。
by めぎ (2012-09-26 16:13)
サントゥスタッシュ教会には、キース・へリングの作品があるんですね。
下の方にいる人間がまさにへリングの描く特徴ある人間ですね。
豚の足という名のブラッスリー、pied de cochon 昔からある老舗ですね。私は20代の時行って、懐かしいです。その後、友達がその隣でレストランを2軒やって、一時は羽振りがよかったんですが。。
by TaekoLovesParis (2012-09-27 00:30)
教会の高い窓から入ってくる光素敵です。
何回も行ったことはないけれど、昔、旅行したときの教会の光を思い出しました。
椅子と影と光のお写真、なんとも言えず・・・素敵な一枚です。確かに眺めている方が良さそうですが、でも、そこに座ってその光の中に入ってみたいとも思いました。 ^^
サン=ジェルマン=ロクセロワ教会のステンドグラス、素敵ですね。光の神様ですね。
確かに光には力があると思います。
特に、朝日は大好きです。
by moz (2012-09-27 05:14)
キャンドルの下は砂なんですね~。ハート型が本当に可愛いです♪
by 母ちゃん (2012-09-27 05:58)
ステンドガラス越しの光が 絵画の胸に描かれた光と重なって
計算された配置なのかなと 見入ってしまいました。
by ami (2012-09-27 16:00)
教会の中に入ると普段でも穏やかな気持になりますね。
暑い夏だとよけいにホッとするかも・・・
ステンドグラスが作り出す光のアート素敵ですね。
最近はキャンドルも電気式が多いけど、この教会は本物のロウソクを使ってるんですね。
これからの季節は眩しい光が恋しくなりますね。
by miffy (2012-09-27 17:53)
サントゥスタッシュ教会は定期的に演奏会があるのかしら?
ステンドグラスに天使にロウソク、教会で過ごす時間は、特にそのお蕎麦屋さんの椅子に座れるような場所はひっそりと心が静まっていいよね。
このところ慌ただしい日々を過ごしているので、久しぶりに私もそういう場所に行こうかな。
・・・でも日本だと神社になるけど^^
by noriko (2012-09-27 23:58)
きらきらした光を見ると心が躍るよね。
喜んでいるのがわかる。
宝石よりも私好きなんだ。自然光のキラキラ感。
古い物をちゃんとメンテナンスして今も使えるんだから、
昔にできたものってきっちりと作業されて作った「いいもの」なんだろうね。
by カエル (2012-09-28 12:14)
キャンドルの砂のところハートにしてあるやつは
京都のお寺さんの禅庭?に発想が似てる♪(・∀・`)
by ふゆん (2012-09-30 05:10)
→皆さま
『ビーチの前に教会へ』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 あの暑さはどこに?と思うほど涼しくなって、早く集中暖房がつかないかしらと家の中でフリース着てる日々。 部屋を暖めるためにコトコト煮込みを作ったり。 猫のトラチは毛布をかけて、とおねだりに来る・・・。
→ぴーすけ君さま
こちらは10℃~20℃くらいの日が多いかな。 でも街を歩く人は、Tシャツや素足にワンピースだったり、かと思えば、毛糸の帽子にダウンベストの人もいる妙な感じです・・・。
→stellariaさま
ほめ過ぎですよぉ・・・照れてしまいます。 妙な所が気になって見入ってしまうというだけで。 パリには面白いものがあれこれあるので、ついつい写真もたくさんに。 言葉は最近本も読んでないので段々と語彙力が乏しくなって行くのを感じてます・・・。 美しい日本語をもっと身につけたいなぁ。
→アールグレイさま
中を歩いて見て廻りながら、静かに自分の思いに向き合える場所でもありますね。 者があり過ぎる所から遮断されるからかな。 光が差すのを見ていると、なんだか前向きになれたりも。
→lucesさま
パリの街には気をつけてみてると結構気圧計があって、パッサージュの中にも。 このタイプの気圧計を発明したのがフランス人のよう。 気圧計の文字盤には数値の他に、嵐、雨、天候不安定、晴れ、非常に乾燥とあります♪
→めぎさま
冷たい雨の日は、ますます教会の中が薄暗くなるから、その分、外の明るさに敏感になれるかも。 寒くて夕食時には小さなキャンドルの光で暖をとったりしてます(笑)。
→TaekoLovesParisさま
解説の張り紙によると、サントゥスタッシュ教会のキース・へリングの作品、これと同じものがニューヨーク、コロラド、サンフランシスコ、イスラエルなど世界のあちこちに9個あるそうです。 広島のミュージアムにもあるみたいですよ。 お友達がレストランを、と以前お話に聞いていたのは、このpied de cochonあたりだったんですね~。
→mozさま
教会に入ると慌ただしくしてる暮らしに一旦ストップがかけられる感じがします。 で自分の内側にあるものが見えてきたり、ダメだ~と思ってても光を見たら、なんとかなるんじゃない?なんて楽観的に思えたり。 さらに絵画や彫刻もあって、美しいものにも会えるので、開いてる扉の教会を見ると中へ吸い込まれてしまって。 こちら、もう日の出が7時54分とかなり遅く。 早起きしなくても朝日楽々♪
→母ちゃんさま
ここのはキャンドル置き場が砂のところもありました~。 ハード型にした人、センスいいなぁ。
→amiさま
そうそう、キラキラの胸のハートに光が重なって、いい効果出てますよね。 この瞬間に出会えただけでも何かいいことありそうって思えてきます♪
→miffyさま
パリの教会は本物のロウソクのほうが多いかな。 皆がお金を出して買って置く、タイプ。 一つしかなくて、それがなくなりそうだと、買って置きたくなりますね~。 我が家も夕食時に小さなキャンドルが恋しい季節に。 すっかり暗くって。
→norikoさま
サントゥスタッシュ教会、どうなんだろ、定期的に演奏会あるのかな? プラハにいた時は教会の演奏会のチラシを道でもらうことが多かったけれど、パリではあまりないなぁ。 神社仏閣も気分を鎮めるにはいいかも。 庭のキレイな所だと、縁側に座ってまったりと出来るし。 紅葉にはまだ早いかな。
→カエルさま
宝石のキラキラは、私にはゴージャス過ぎて緊張するなぁ。 木漏れ日のキラキラが一番落ち着くかも。 本当にいいものは、ずっとずっと次の世代、次の時代に受け継がれて行くもんなんだねぇ。 そういうもの作れる人って、凄いなぁ・・・。 絵画も彫刻も、パリにはたっぷりあるものね。
→ふゆんさま
ふふ、枯山水ですね~、似てるかも♪ ハートの回りに流れを表す線付け加えたり・・・なんてことしたら怒られるか・・。
by Inatimy (2012-10-03 18:54)