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日帰りアントワープ [ベルギー]

 今回の日帰りシリーズは、家から2時間弱で、行けるベルギーの町、アントワープ。 行きたいと思いながらも、なかなか来ることができなかったところです。 (実は、大きな街が苦手な私が、尻込みしてました・・・。)

 Groenplaats から見た聖母大聖堂

 やはり、お目当ては、聖母大聖堂。 昔、TVで見たアニメ「フランダースの犬」ネロ少年が、どうしても見たかった、ルーベンスの絵があるところです。 

 Groenplaats に建つルーベンスの像 

 1352年から約170年かけて完成したこの大聖堂、当初は2つの塔が建つはずでしたが、完成当初、南の塔の高さは、北の塔より、はるかに低いもの。 その後、火事のために損傷した大聖堂の修復に資金が投入され、南の塔は延期、そして中止に。

 正面から見た聖母大聖堂 と Grotemarkt から見た塔 

 正面から見ると、南の塔の低さがよく分かりますね。 北の塔は123m、南の塔は65.3m。 北の塔の建設には、1世紀かかり、下の部分はゴシック中期、上の部分は、ゴシック後期で、塔の先にいくにつれ、装飾も豪華・繊細に。 尖塔は、「石のレース編み」と称されています。

 Oude Koornmarkt 通りから見た塔 と そこからの小路から見た塔 

 この通りには、たくさんカフェやレストランが並んでいて、にぎやかです。 狭い道ですが、車も通るので注意しないと危ないです。   

 ブラセリーの角から見た塔 と ・・・意外な穴場からの塔 

 このブラセリーは、Elfde Gebot (エルフデ・ヘボット) というお店。 中には、木製の聖人の像がたくさん置かれています。 ツタのからまる、雰囲気の良さそうなお店です。 ・・・って、中には入ってませんが・・・。

 で、一方の意外な穴場とは・・・・・・マクドナルド。 最初の写真のGroenplaats にあり、そのマクドナルドの2階、広場とは反対側の、裏側の席から、聖母大聖堂が見えます。 とても接近して建ってます。 窓越しに撮りました。

 ちょっと、ひっぱりましたが、ようやく、ルーベンスの絵です。

 De kruisoprichting キリストの昇架 <午前>

 De kruisoprichting キリストの昇架 <午後>

 

 ご覧のとおり、時間帯によって光の差し具合が異なり、かなり見え方が違います。 私は、午前のほうが好きです。 

 十字架を立てようとする、筋肉質のおじさまがたの姿が、力強く、描かれています。 ダイナミックです。 また、今まで、やせ細って、ひょろりと描かれたキリストの姿を多く見て来ましたが、この絵のキリストは、70~80kgはありそうな感じ。

 De kruisoprichting キリストの昇架 の両扉 

 こういった祭壇画を、オランダ語ではdrieluik と言います。 日本語では、トリプティークと言うのでしょうか。  パタリと扉が閉じられるようになっています。 閉じた時に、その外側の絵が見らるようになっているので、開いた状態での展示の際は、可能な限り、扉の外側も忘れず見ることをお勧めします。

 この「キリストの昇架」は、1794年まで、聖ワルブルヒス教会(今は存在せず)の主祭壇を飾っていた絵で、フランス軍に持ち去られましたがその後返却され、1816年以来、この大聖堂に飾られているという話。

 で、この「キリストの昇架」、ネロ少年が最後に見た念願の絵ではありません・・・。 

 De kruisafneming キリストの降架

 こちらが、夢がかなってようやくネロ少年が最後に見た絵です。 第2次世界大戦後まで、カーテンがかけられ、お金を払わないと見せてもらえませんでした。 

 さびしげな絵ですよね。 なので、私は、「キリストの昇架」、マッチョなおじさまがたの絵のほうが好きです。

 この大聖堂には、他にも、ルーベンスの絵があります。 

 Tenhemelopneming van Maria 聖母被昇天

これが、この大聖堂の主祭壇を飾っている絵です。 1626年のルーベンスの絵。 490×325cmだそうです。 

 De dood van Maria 聖母の死

 主祭壇のルーベンスの「聖母被昇天」の裏側にあるのが、この絵です。 これは、ルーベンスと同世代の画家 アブラハム・マティセンスという人が、1633年に描いた絵。 大きさは、500×325cm。 主祭壇のルーベンスの絵より10cm縦長ですね。

 De Verrijzenis van Christus キリストの復活

 1612年に描かれたルーベンスの絵。 手持ちのガイドによると、アントワープの有名な印刷工の夫妻の墓所のための祭壇画で、中央にキリストの復活、左右には、夫妻の守護聖人である洗礼者ヨハネ聖マルティナが描かれているそうです。 

 教会の後陣部分にも、きれいなものがたくさんあります。

  波のようなシルエットの祭壇画

 四角い形に飾りのついた祭壇画

 凸型に飾りのついた祭壇画

 これらの説明がありませんでしたので、詳しいことは分かりませんが、美しいです。 何度も立ち止まっては、周歩廊を歩きました。 

 いつも、何の予備知識もないまま出かけるので、旅先で気になったものや、撮ってきた写真を見て不思議に思ったことを、後で、いろいろ調べてます。 調べたことから、さらに枝葉が広がって、また、行ってみたいところが増えて・・・。 

 旅行は、いつも、何か新しいことを知るきっかけを与えてくれますね。

 *** 次回、アントワープで食べたものは・・・ *** 


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コメント 13

私もアントワープと伺って、まず『フランダースの犬』を思い出しました。
そして、期待通りルーベンスの絵を見せてくださって、本当に嬉しいです。
大聖堂は想像を超えて素晴らしいです。
私もいつの日か、訪れてみたいです。。。
(もう一箇所の念願は、プラハなんですけど…)

ベルギーはフランス語圏なんですよね?
でも街の色は、ドイツに似ているように見えます。
by (2007-08-08 18:04) 

ぜ~ったいに行きたいと思っていたアントワープ。感動です。
ルーベンスの絵を見たいと思っていたので、解説もじっくり拝読させていただきました。
日帰りで行けるなんて、うらやましいです。
来年はベルギー行きを真剣に考えなくては。
by (2007-08-08 19:56) 

MOCOMOCO

すばらしい建築物ですね!
石のレース編みと称されている尖塔、まさにその名前がぴったり。
アントワープというと、私も「フランダースの犬」が思い浮かびました。
ルーベンスの描く宗教画は、
本当に人物が肉質で躍動的な感じがしますね。
お食事編も楽しみです♪
by MOCOMOCO (2007-08-08 20:40) 

はっちん

私でも聞いたことあるくらいの地名だと、かなり大きいのですね。^^;
石のレース編み、ことばを考えた人に拍手! 写真の1枚1枚が荘厳で、素晴らしいです。あとで調べられているとは、これまた凄いです!
by はっちん (2007-08-08 21:15) 

ぴーすけ君

すばらしい絵ばかり゚.+:。(´∀`)゚.+:。
いつか見に行きたいです。
by ぴーすけ君 (2007-08-08 21:18) 

miffy

ルーベンスの絵、素敵ですよね~
私は、ネロがどうしても見たかった聖母被昇天の絵を見たときに、「わ~これなんだ~」とずっと見入ってました。
キリストの復活はキリストのまわりの後光が浮き上がって見えてスゴイなと・・・
写真の撮り方でしょうが、私が行った時は内部がもっと暗かったような気がします。
by miffy (2007-08-08 21:53) 

rino

今から9年くらい前ですが、小学生の子供を連れてルーベンスの絵を見にアントワープへ行きました。「フランダースの犬」を絵本で読んでいたのもあり、休暇で旅行するときはなるべく子供の興味を引く場所をいくつか選んでいました。娘が絵の前でずいぶん熱心に見入っていたのを覚えています。
by rino (2007-08-08 22:50) 

polo

建物がすごく重厚ですね。ベルギーにもまだ足を踏み入れたことがないので行ってみたいです。
by polo (2007-08-09 03:39) 

いっぷく

予備知識を得てから現地に行くと見たいものも具体化して見落としも少なくなりますね、せっかく行ったのに通りすぎて目に入らなかったなんてこともあるので関心あるところぐらいのチェックは必要ですね。
アントワープでは見落としたくさんあるのでつくづく思いますよ。
by いっぷく (2007-08-09 06:43) 

krause

アントワープは、一度訪れてみたい街です。良い街並みですね!オランダの同僚たちに「フランダースの犬」を聞いても知らないので、がっかりしたことがあります。因みに作者は、英国人だったでしょうか。
by krause (2007-08-09 07:37) 

toraneko-tora

ここの大聖堂の絵は、すごいですねぇ
by toraneko-tora (2007-08-09 13:04) 

newyork

こんにちは!先日はご訪問、どうもありがとうございました。これから過去記事もゆっくりと読ませていただきますね。アントワープ、本当に良いところですよね。私もおととし、ベルギーに住んでいた時に両家の両親を連れて遊びに行きました。母がフランダースの犬の土地をみたい!と言っていたので、とっても喜んでいました。
by newyork (2007-08-10 04:04) 

Inatimy

⇒xml_xsl さま、TaekoLovesParis さま、たねさま、てんとうむしさま 
nice! ありがとうございます。 

⇒Roseblanche さま 
ベルギーは、北部はオランダ語(フラマン語)、南部はフランス語、東部は一部ドイツ語です♪ ベルギー人って、大変ですよね。

⇒好(ハオ)くん さま 
気に入ってくださってありがとうございます。 少しでも、旅の参考になれば、うれしいです♪ 来年のベルギー旅行実現、祈ってます。

⇒MOCOMOCO さま 
昔の職人さんの腕は、本当にスゴイと思います♪ 私なら、あっ・・・と失敗するのが目に見えてますね。

⇒はっちんさま 
アントワープ、大きいです。 聖母大聖堂だけで、ほぼ一日過ごし、まだ見てないところがいっぱいです。

⇒ぴーすけ君さま 
迫力あります♪ いつも、ぼーっと見ていて、気にしてなかったのですが、ルーベンスの絵は、あちこちにあるようなので、今度は意識して見て見ようと思ってます・・・。

⇒miffy さま 
私が行った時は、あちこち修復していて、足場が組まれていたせいもあるのか、見やすいように、ライトがついていました。 だからでしょうか。

⇒rino さま 
子供の頃から、素敵なものを見る機会があるのは、大切ですね。 いい経験になりますよね。  

⇒polo さま 
石畳の町、古い建物、たくさんの教会、おいしいレストラン、どれもこれも素敵なベルギーです。 オランダとも、またちょっと雰囲気が違って。 

⇒いっぷくさま 
あ、私、もしかしたら、見落としたことすら、気づいてないのかもしれません・・・。 今度は、事前調査もしてから旅に出てみます♪

⇒Krause さま 
作者は、英国人です♪ オランダの人々は、このお話、知らないんでしょうかね。 話によると、悲しい結末なので、ベルギーの方々は、ストーリーに満足してないらしいです・・・。 自分達は、子供をそんな目にあわせない、と。
 
⇒toraneko-tora さま 
美術館のような、大聖堂です。 午前と午後の2回も訪れました。 アントワープ、また行って見たいです。 

⇒newyork さま 
遊びに来ていただいて、ありがとうございます。
ベルギーに住んでいらっしゃったのですね。 私も、過去記事、楽しみに読ませていただきます。
by Inatimy (2007-08-12 06:58) 

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