パリでお花見、春爛漫 [花・植物]
欧州に来てから春が好きになった。
あまりに長くて暗いモノクロの冬の後だから、
陽の光に包まれたカラフルな花の季節をよけい心待ちにする、というのもあるのかも。
生えてる植物が異なるからか、環境や食べ物の変化からか、
はたまた年を経るごとに体質が変わったのか、花粉症が軽くなったのもあるしね。
以前は楽しむ余裕なんてなかったもの。
４月、進行形の春の中のパリ。 アイスランドポピーも咲き始めた。
青い空、緑の葉っぱに、オレンジ色が鮮やか。
昨年５月くらいに来た時もまだアイスランドポピーが咲いていたので、
花の見ごろは長く、これからまだまだ楽しめそう。
そんなアイスランドポピーのつぼみって・・・
・・・実は、チクチクうぶげの生えた卵のようだったりする。
これがパカッと割れて中から花が。 ツボミの姿、ちょっと衝撃的だった。
花いっぱいのこの場所は、パリの Jardan des Plantes 植物園。
いつものようにモスクの横を通って、進化大陳列館そばのエントランスから入る。
すぐに見えるピンク色の花の木は、ハナズオウ（花蘇芳）。
ことろどころに豆のサヤのようなものもぶら下がる。
そして、その先には、いくつかの大型の四角い鉢植えに植わった木。
ツボミはピンク色、花が開くと白。 これは林檎の木のよう。
我が家の種から育てた林檎も、いずれはこんな風に咲くといいな。
空は青く快晴だけれど、風はまだまだ冷たい。 でも、思ったより、花が咲いてるかも。
時折、風にあおられ白い砂が舞い上がる。 ビオラの花びらも砂ぼこりまみれ。
このビオラをじーっと見てると・・・ちょっぴり怒ったおじさん顔に見えない？
芝生の上にも、小さな小さな、春の野の花。
チューリップも咲いていたけれど、まだまだ数が少ないな。
オランダのキューケンホフ公園や、畑で、チューリップを激写してた頃を思い出すと、
懐かしくなって、ほんの少しキュンとなる。
この日、パリの植物園に来たのは・・・
・・・桜の花を見るため。 植物園には、日本の桜がある。
Prunus Speciosa オオシマザクラ（大島桜）。
植物園だと、どんな品種なのかネームプレートで分かるしね。
というのも、今までどれを見ても桜というひとくくりでしか見てなくて、深く知ろうとしなかった。
オランダでチューリップの品種にどっぷりハマった後、
パリで薔薇やジャーマンアイリスの品種に目が止まり、
今度は、桜、梅、桃、杏、スモモ、アーモンドあたりの花がどう違うのかも興味の焦点。
Malus Spectabilis マルス・スペクタビリス。
中国原産の林檎の一種の木。 ホンカイドウ（本海棠）。
淡いピンクの林檎の花も、いいな。
林檎も桜も、バラ科の植物なんだって。
濃いピンク色の花のふさふさをつけた木。 低い位置から幹が枝分かれ。
これは、Prunus "Kanzan" カンザン（関山）。
Wikipedia によると、サトザクラ群の桜の園芸品種で、塩漬けの桜もこれなんだそう。
近寄ってみると、花は八重咲き。 葉っぱの色も緑じゃなく赤っぽい色。
一方、白い花のこちらは、Prunus cerasus スミミザクラ（酸実実桜）。
その字の通り、実のほうは、かなり酸っぱいんだとか。
左の白っぽい花の木が大島桜。 左の濃いピンクが関山。
正面に見える建物が進化大陳列館。 あの左横のエントランスから植物園に入って来た。
で、ここらで一息。 ベンチに座って持ってきたおやつを食べる。
水筒には、ほどよく飲み頃になった温かい麦茶。
頭上には若葉が見えかけてきたプラタナス。
幹から伸びる枝の先には、丸いもの。
実だと思ったら、これは花なんだって。 正確には雄花。
もっと赤味を帯びてるのが雌花。 確かに他の写真を見ると、赤いのもあった。
そして太陽の光を浴びながら、のんびり座って、ふと気になったのが、
目の前の木にぶら下がるこれ。
しわしわ・・・。 怪しげ・・・。 ハチの巣？ 虫の卵の塊？
この木は、Cydonia Oblonga サイドニア・オブロンガ。
恐竜みたいな名前をもつ植物だけど、日本語では、マルメロ。
写真は、ぶら下がって、そのまましなびてしまった実のよう。
マルメロの実は、フランス語では coing コワン、
スペイン語ではmembrillo メンブリーリ゛ョ・・・と、
食べ物関連の単語はよく覚えてるのになぁ・・・。
植物園にあったマルメロの品種は"Vranja"。
ピンクのツボミもあったので、花が咲いた姿もキレイかも。
再び歩きだして見たのは、Prunus serrulata var. spontanea 。
ヤマザクラ（山桜）・・・なのかな。
Prunus "Hisakura" とあったけど、ヒザクラ（緋桜）のことかな？。
花びらが長細い。
ひときわ、たくさんの注目を浴びていたのが、この桜。 地面にすれて伸びる枝。
Prunus Groupe Sato-Zakura 'Shirotae' 。
サトザクラ（里桜）の一種の「白妙」。
枝を見ると、ふわふわの薄らピンク色の八重。
桜って、花が終わった後に葉っぱが出てくるんだとずっと思ってたけど、
花と葉っぱ、同時もありなんだなぁ・・・。
Malus Baccata var. jackii マルス・バッカータ・ジャッキイ。 林檎の一種。
シベリアン・クラブアップルとか、シベリアリンゴというみたい。
やっぱり、つぼみの頃は淡いピンク色で、咲くと白。
高いところに咲いていた、これも林檎の花かと思いきや・・・
なんと、西洋梨の一種。 Pyrus Caucasica ピルス・コーカシカ。 コーカサス梨？
梨もバラ科。 だから林檎や桜の花とも似てるんだなぁ・・・。
あぁ・・・余計混乱してきたかも。 よく似た花が増えてきた。
花を見て識別するなんて、まだまだ遠い道のり。
木々の花を見ていても、ちらっと気になるのは、球根の花。
黄色に白のカップの水仙や、チューリップのクルシアナ。
Choisya ternata チョイシア・テルナタ。
メキシカン・オレンジ・フラワー。
先日、街で見かけた花と同じ。 植物園で初めて名前を知った。
あまりにも良い香りは、ハチにも大人気。
足に花粉だんごをつけて飛び回っていた。
植物園には、ハチのための集合住宅もある。
フランスには約９００種類のハナバチがいるんだそう。
すべてのハナバチ大歓迎・・・などと解説板に書かれてた。
ハナバチとは、花粉や蜜を集めるハチで、フランス語では abeilles アベイユ というみたい。
葡萄畑は、まだ新しい葉っぱが、ちょこっと出たばかり。
坂道を上がり、レバノン杉の横を通って、小高い丘の上のガゼボ（西洋風東屋）へ向かう。
途中で見つけた植物。 なんだろうね。
フサスグリ？ ヤブサンザシ？
坂から下りる帰り道では、見たことがあるような花の形。
ヘレボルス（クリスマスローズ）・・・？ と、解説プレートを探す。
Helleborus lividus subsp. corsicus ヘレボルス・リヴィドゥス・コルシクス。
コルシカ島のヘレボルスだって。
緑色の花。 ヘレボルスも奥深い。
日陰の山肌でも平気なんだね。
関山の桜の木が、園内のあちこちに植わってた。
植物園。 パリで一番好きな場所。 ここも無料なんだもの、パリ市太っ腹。
我が家は、おやつと麦茶だけ持参で、ほんとに花を見るだけのお花見になっちゃったけど。
日本だと、お花見弁当を選ぶのも楽しみの一つかな。
帰りにテラス席でミントティーでも飲んで帰ろうと思ったら、
植物園すぐそばのSalon de thé de la mosquée サロン・ド・テ・ド・ラ・モスケは、
大繁盛。 人がいっぱいで断念。
家で、ミントティーってのも、あり？ ふふ、まずは道具からね。
ベランダ小庭で、ミントを育ててみるのもいいな・・・なんて、また増やしてしまいそうだ。
この数日後から曇りがちになり、肌寒さが増したパリ。
ぎりぎり良いタイミングで見に行けてヨカッタ。
日本も桜、見頃？
春のお花見散歩、楽しめて良かったですね♪花ってほんと癒されますね♪
by rinochi (2012-04-06 18:21)
一気に花開き始めましたね。
やはり桜って良いなぁー。。。。咲いているときは優美で
散り始めはハラハラと桜吹雪も美しい。
こちらは 先日、爆弾低気圧で台風のように荒れ狂った
気候となりましたが 今日は 8分咲きとなりました。
今週末には見頃を迎えるかと思われます。
by ami (2012-04-06 20:05)
パリで桜を見て、日本の思いを感じられるっていいなぁ～♪
東京も今が本当に満開の桜。。。綺麗ですよ。
by ぴーすけ君 (2012-04-06 20:23)
私の育った北国では桜は常に葉っぱと一緒に咲いて、桜餅のようでした。
だから、大人になって東京に就職して初めて葉っぱのないソメイヨシノの満開の並木道を見たとき、ああ、これが、サクラサクの桜なのね、と感動したものでした。
そして、その散りゆく様子もまた素晴らしく、ああこれがサクラチルなのね、とも。
今住んでいるところは故郷の桜に似ているように思います。
もっとも、故郷の桜が咲くのは5月中旬なのですけど。
by めぎ (2012-04-06 21:19)
東京の花粉症は、特別な気がします。
私の実家のある富山では、少ないですよ。
都会病なのかもね・・。
by angie17 (2012-04-07 00:24)
美しい花がたくさん咲いている植物園ですね。
花粉症が軽くなって良かったですね。
かわいいお花が目に入っても、花粉症できつかったら、なかなか春を楽しめませんものね。
リンゴの花、可憐ですよね。
実家に姫リンゴの木がありますが、花の時期が楽しみです。
我が家の原種のチューリップ、クルシアナに似ています。
by アールグレイ (2012-04-07 07:33)
ハチの集合住宅は、まるでなにかのオブジェクトみたいですね。これでアートしてます。
花の季節を心待ちにするのは、北国にすむ私たちと同じ感覚なのだろうなあと思いました。いっぺんに花々が咲き乱れます。それがあるから厳しい冬と雪にも耐えられるのかも。
by ＨＩＲＯＭＩ (2012-04-07 09:29)
どの写真も春を感じさせますね。
今年のニッポンはまだ寒くて。
来週くらいかな、お花見は？(>_<)
by ぷーちゃん (2012-04-07 11:37)
Jardan des Plantes、私もだいぶ前だけど、桜のお花見に行きました。たくさんの木がよく手入れされていて、みごとですよね。ちょうど満開で、最高の日にいらっしゃいましたね。最後から2番目の写真のピンクの可憐さが
いとおしいほどに美しいです。
東京も昨日あたりから一気に咲き始め、今日、明日が見ごろです。
by TaekoLovesParis (2012-04-07 11:52)
春まっただ中のパリ、中でもここは一番春らしさを感じられる場所でしょうね～＾＾いいなあ。行ってみたい！
ポピーは南房総でもよく栽培されていて、花摘みしたりできるんですが、
蕾から花びらが出てくる様子はまるで鳥の羽化みたいですよね。
桜もいろんな種類が楽しめていいですね！
澄みきった青空をバックに、どの写真も綺麗でうっとりです。
いろんな種類の桜や花木を楽しませていただきました♪
ミントはとっても丈夫なのでベランダ栽培お勧めです！
（地植えだと丈夫で広がりすぎて、後が大変なことに。）
by MOCOMOCO (2012-04-07 20:44)
今年の日本も本当に寒いのです。パリも寒の戻りがあったりの中、花はちゃんと咲いてくれてますね～(^^)
by 母ちゃん (2012-04-08 06:23)
パリのお花見いいなーーっ☆
桜、こちらはまだ蕾です(^^)
by 夢空 (2012-04-09 19:43)
こちらはやっと暖かくなってきました。
パリは花であふれているんですね～。見事な景色です。
by のん (2012-04-09 20:59)
パリにもいろんな種類の桜があるんだね。
日本のお花見の名所は酒宴のうほうがものすごくて、そっちに目が行きがちで、なかなか花を愛でることができないのがちょっと残念。
今年は月末に東北でゆっくり眺めようかなぁ、と計画しています。
by noriko (2012-04-09 22:48)
→皆さま
『パリでお花見、春爛漫』のお話に、たくさんのnice! ＆ コメントありがとうございます。 日本も桜が見頃のようですね。 あちこちのブログで桜の写真を眺めては春を楽しんでます。 こちらはあれから曇り空や雨・・・植物園の桜、散ってしまったかな・・・。
→rinochiさま
我が家の球根もネギ状態が多くって、街の中もモノトーンだったので、花が見え始めると嬉しいですね～♪
→amiさま
桜吹雪も花筏も、散ってからも楽しめる桜はいいですよね～。 大荒れな天気にも耐え抜いた桜、強いなぁ。 お花見に、サンドを持って行って食べる、いいだろうなぁ。
→ぴーすけ君さま
どこに行っても、どんな花を見ても、やっぱり日本人、この時期には桜色の木々の花に目がとまりますね～。 東京の夜桜も素敵だろうな。
→めぎさま
あら、めぎさんの出身地では葉っぱも花も同時だったんですね～。 でも５月中旬に咲く桜っていうのも凄いな。 それからどんどん短い夏の期間に他の花も咲いて行って、あっという間に涼しい季節になちゃうなんて・・・やっぱりドイツやオランダに似てるかも。
→angie17さま
平らな土地だし山もないオランダでも杉やヒノキじゃなく、他の木々の花粉でもダメなようで・・・花粉症の人多かったです、菩提樹だったかな。
→アールグレイさま
花粉症が軽くなってきてホッとしてます。 以前は鼻づまりもひどくて脳に酸素がいきわたらず、常にボーっとした感じで、春の記憶が薄いんですよ（笑）。 姫林檎の花もきれいでしょうね。 そうそう、お庭の原種のチューリップを拝見して、クルシアナに似てるな、って思ってました♪
→ＨＩＲＯＭＩさま
このハチのお家も素敵でしょ、デザインにこだわりが合って。 他に斜めの片屋根傾斜のものもありました。 花の季節を待つ気持ち、きっと北国の方々と同じですね。 春が来るから冬の長さも耐えられるし、終わりのある冬も楽しむ気持ちもちょっぴりわくし♪
→ぷーちゃんさま
入学式の頃に満開を迎えるのが一番雰囲気出ますよね。 週末はお花見の人々であちこち賑わってたかな～。
→TaekoLovesParisさま
引越しだのなんだのでタイミング逃して、桜の時期に来られたの、今年が初めてなんですよ。 まだまだ花の季節が続くのでこまめにチェックしに行かないといけませんね～。 桜や林檎など花のない時期ばかりに行ってたので、こんなところにあったのか・・・という感じでした（笑）。 何度も横を通ってたのに。
→MOCOMOCOさま
キューケンホフ公園や畑に行けなくなった分、花の楽しみは植物園が一番になりました♪ ポピーのつぼみ、ほんとまさしく鳥の羽化、ぴったりの表現です～。 あと花の狙い目は、ヴァンセンヌの森にある花公園かな。 バラの季節も逃せないし、気が抜けません（笑）。 ミントが丈夫、という言葉を聞いて、現在無謀な挑戦中です～。
→母ちゃんさま
どんなに寒くても冬には終わりがあって、春は必ず来るんですね～。 花の咲く時期、嬉しい気分が続きます♪ お花が好きなコパン君もパリの植物園、気に入ってくれるかも。
→夢空さま
桜のつぼみは少しはほころび始めたかしら。 こちらは逆に寒くなって暖房なしでは冷え冷え。 日は長くなって明るくなったのになぁ。
→のんさま
パリは、花もいっぱいだけど、観光客もあふれかえってます♪ どこにいっても人が多くて。 この先もますます増えて行きます・・・。
→norikoさま
日本の桜が数種類植えられてるところに、フランス人の日本への関心の高さがうかがえたり。 遠く離れた異国で桜が見られるのはやっぱり嬉しいもの。 東北の桜は月末が見ごろなのね。 楽しいお花見になりますように♪
by Inatimy (2012-04-10 23:49)
コンコルド広場にあったのはヤマザクラかなぁ？
バラ科なんだよね。不思議。近所には「アメリカ」ってかかれたネームプレート発見したけどほんとかな？笑
はなの都パリだものね、たくさんのお花に囲まれてきれいだなぁ♪
モスクの中のカフェの内装が素敵だったよ！覗くだけでも大丈夫だった！もしよかったら？
by カエル (2012-04-11 00:47)
植物園でのお花見も良いですね～
関山などの里桜は大島桜を改良したものが多いですよね。
色も普通の桜よりも濃くて花びらの数も多くてゴージャスですよね。
今年の春は満開の桜の前に満開のジャカランダの並木も見れて得した気分です＾＾
by miffy (2012-04-12 23:46)
→カエルさま
日本からアメリカに渡った桜がご近所へ逆輸入？・・・だったりしてね（笑）。 私にとっての花の都はオランダだなぁ。 近所の花屋さんの質・量は、パリよりすごかったもの。 サロン・ド・テ・ド・ラ・モスケは前に入ったことがあるけれど、いつかあそこで夜ごはんをたべてみたいなぁ・・・なんてことも思ってたりする、ふふ♪
→miffy さま
他に桜のキレイな公園もあるみたいなんですが、植物園だと桜以外にも楽しめていいかな、と。 パリで観る日本の桜も、うるってくるほどキレイでした。 ジャカランダの花の色もキレイですね～。 写真また見せてくださいね♪
by Inatimy (2012-04-13 23:41)
綺麗なお花がいっぱい♪
素敵ですね～
パリにもたくさんの種類の桜が咲いているのですね♪
やっぱり春っていいなぁ。ヾ(￣ー￣)ゞ
by りゅう (2012-04-15 17:03)
→りゅうさま
ここは植物園だからっていうのもあるんですが、街の中も公園とか誰かの住んでるベラだとかに、花が。 春はいいですよね～♪
by Inatimy (2012-04-18 18:07)