並木道を見に

 寄り道は、旅の隠し味♪　　なんとなく、そんな感じがして、ついつい、旅を味付け。　

 まっすぐな道の両脇に、ずーっと続く、並木。　これは、白樺の木かしら。　左側には、ブルージュの町から、ずっと一緒の運河。　右側には、牛や馬、農家の家々が、ポツポツと。　　

 そう、やってきたのは、ブルージュから運河沿いに北上したところにあるDamme ダムの村。（昨年の記事はこちら。）

 村のはずれにある無料駐車場に車を置いて、歩いて村の中心地へ。　

 途中に渡る橋の上からも、並木道。　ツタの絡まる橋の手すり。　この村のどこかで、画家フェルメールを取り上げた映画「真珠の耳飾りの少女」のロケが行われたそう。　このあたりは、キレイに並んだ木々が多い場所。　なので、たぶん、主人公の少女フリートが肉屋の息子と歩く並木道のシーン・・・かな。　

 Onze-Lieve-Vrouwekerk 聖母教会の横の緑の地には、羊さんたち。　いつものように、日向ぼっこ。　

 古い煉瓦造りの小さな建物の壁には、薔薇の花。　この町を知ったのは、ずいぶん昔に読んだ雑誌の特集で。　客室が3部屋ほどしかない、村の農家に泊まったことも。　朝食は、チーズたっぷりで、夕食は、懐かしい肉ジャガのようなお料理だったっけ。　

 村を突き抜けるように走るメイン通りを、こんな農作業車が走ります。　奥にももう一台。　乗用車とすれ違えるのかしら・・・。　あちこちでよく見かける、緑と赤、緑と黄色の色合いもいいけど、こんな青と黄色もカッコいい。　写真を撮ってると、運転手のおじさま、うれしそうな顔。

 その脇には、聖ヨハネ施療院博物館。　昔は、Sint-Janshospitaal という病院だったよう。　ここは、4月～9月だけ開館。　　

 病院の礼拝堂が、とてもキレイなのだそう。　どうりで・・・ミュージアムの壁にも、ニッチに像。　右のは、ガラス張り。　

 レンガ造りのミュージアムの隣には、白い壁の建物も。　石畳の歩道、家の前には木のベンチ。　

 そして、この建物にも、像があるのでした。　　ドアの上には、1876年の年号。　古くから残る建物だけれど、村の雰囲気というのは、少しずつ変わるものなのも。　

 芸術家が住み、ギャラリーもいくつかあったのに、今は、どこか静かに。　以前あった雑貨屋さんの姿も無く、売りに出されてる家もちらほら。　賑わったり寂しくなったり・・・その様子は、吸ったり、はいたり、人が呼吸をしてるかのよう。　　　

 Kamoさんは、市庁舎を撮影。　毎回来るたび撮ってるしなぁ・・・と私は、待ってたら・・・

 ・・・何気なく振り返った窓に、市庁舎。　青い窓枠が額縁のよう。　こんなのもいいかも、とまた、市庁舎撮影。　

 このお店は、「３つの銀製水差し」という名前。　看板も、そのまま。　分かりやすいですね。　この村には、他にもカフェやレストランがいっぱい。　

 休日には、ブルージュや近郊の町からやってくる人々が、村でのんびりした時間を過ごします。　日本の感覚からすると、ゆるやかな流れの日常が、さらにゆっくり流れるように感じるのかも。　

 メイン通りは、すぐに、村の反対側のはずれの運河に出ます。　標識、案内板がたくさん。　ここからブルージュまで、車で15～20分ほど。　　

 橋の上から、北のほうを見たところ。　両側に並木道。　ここに来ると、撮らずにはいられない景色だったり。

 南は、逆光になるので、少し斜めから。　この運河、ブルージュに続いています。　写真に写ってる船が、ブルージュとダム間をつなぐLamme Goedzak号。　

 さっきの運河の北側を見た写真、左側の並木の向こうには、村の昔の土塁の一部が残っています。　

 といっても、土を盛り上げただけの、堤防のようなものですが。　くるりと一周できる短い散歩道になっていて、羊を見たり、農耕馬を見たり、そのまた向こうにもある並木道を見たり。　カモミールも咲いています。　

 運河にかかる橋より南側に少し歩くと、こんな像。　かなり前、初めてこの村に来て、この像を撮った時は、使い捨てカメラだったかも・・・。　

 これは、作家Charles de Coster の作品「De legende van Uilenspiegel en Lamme Goedzak」にちなんだ像のよう。　単語を分けて説明すると、uilen はフクロウの複数形、spiegel は鏡、lam は子羊。　goedzak は親切な人・お人好し。　

 鏡を手にした人の像、フクロウ、鳥？

 その後ろには、カエルに、子羊？　

 その作品の登場人物 Tijl Uilenspiegel タイル・アウレンスピーヘル の生誕の地が、この村ダムの設定。　で、Lamme Goedzak は、ラム・フートゥザック は、彼の親友の名。　このふたりにまつわる伝説の話みたい。　私は、まだ読んだことが無いのですが・・・。　　

 日本では、ドイツ語の Till Eulenspiegel ティル・オイレンシュピーゲル の名で呼ばれているみたいです。　元々は、フランドル地方や北ドイツの民話に出てくる架空の人物。

 家の壁に、1923年の年号と、"TYD GEEFT KANS." の文字。　心に染みるなぁ。　「時間はチャンスを与えてくれる」。　

 日々の生活の中で、何気なく目に付く言葉って、誰かからのメッセージのような気がします。　たまたま開いた本のページとか、街角の看板や、公演のポスター、テレビドラマや映画の登場人物の台詞・・・に、行き詰った時のヒントが隠されているかのよう。

 逆行にならないように撮るために、南に歩いて来たのでした。　運河の対岸から見たダムの風車Schellmolen 。　土を盛り上げて作られた小高い台形の丘に建っていて、白いボディーに赤い羽根が素敵なアクセント。　

 どうする？　お茶していく？　でも、ブルージュで、お昼いっぱい食べたしね・・・

 ・・・と、とりあえず中心まで戻って、市庁舎の前で壁の像を撮影。　お茶するなら、以前来た時と、また違うお店がいいなぁ・・・とあたりを見渡して、何気なく、写真右の観光案内所もチラリとのぞいてみる。　

 結局、町のお土産屋さんで、スポーツドリンクを買って、歩きながら交互に飲み、ぶらぶら散歩しながら駐車場へ向かうことに。　

 途中の脇道で、オレンジ色の瓦屋根に、薄いピンク色の薔薇を発見。　ツボミは濃いピンクなのに、花が開くと淡くなるんですね。　他にも、壁に這わせた白いつる薔薇を見たり・・・

 ・・・白い壁にキレイに映える窓辺の花に、引き寄せられながら、来る時に通った教会まで・・・

 Onze-Lieve-Vrouwekerk 聖母教会、今回また、一部修復中でした。　ここの教会の壁にも窓ガラス越しに像。　この村の像は、ガラスの窓付きが多いですね。　風や雨から守られてます。　　

 車に乗って、帰り道は、地道を走りながら北上。　途中、様々な模様の牛さんにご挨拶。

 車で走りながらも、助手席の私は、並木道を見つけると、思わず撮ってしまいます。　

 ・・・それと、牛も。　走っている車の中からでも、近距離で牛と目が合う、ほんの一瞬の時間。　これも、与えられたチャンスなのかも。　耳の毛がふさふさ♪

 大きな自動車専用道路に出てからも、何度か見つける並木道。　傾きつつある陽の光に照らされて・・・あそこを歩いてみたらどんな感じかなぁ・・・と思いをはせていると、「次、どっち？」と横からKamoさんの声。　カーナビがついていても、ナビ役を解任されず・・・。　「Breda ブレダ の方に行ってね。」と、突然、現実に戻ります。

 でも、この後、オランダに向かう高速道路は、渋滞・・・。　地図を見て他の道を探す私。　ラジオの交通情報を聞くと、このままだと、かなり時間がかかりそう。　なので、次の出口で、高速道路を下りるようにKamoさんに。　

 カーナビ機能は、まだまだ不便。　使いたくない道を入力して他のルートの検索が出来ればいいのに。　しつこいほど、うるさく、渋滞してる高速道路へと導こうとするカーナビくんの声を無視して、人間ナビ役がんばります。　地道で国境を越え、Rotterdam ロッテルダム まで。　そこから、高速道路に乗り、デルフト、デン・ハーグを抜ける西側周りで帰ることに。

 「ひとりだったら、カーナビくんの声に負けて、そんなに言うんだったらぁ・・・と渋滞の高速に戻ってしまってたかも。」とKamoさん。　ダメよっ、カーナビくんに負けちゃ。　　

 西へと向かう高速道路で、日没。　実際は、写真で見るより、もっと太陽が大きくて。　　

 陽が沈んだ後も、西の空は染まったまま。　オレンジ色からピンク色へと移り変わる夕焼け色。　デジカメで撮る、流れる景色も、そろそろ限界の時間かな。　この後、無事、帰宅して、日帰りの旅が終了。

 旅で買ったもの、今回は少なめ。　チョコレート屋さんの布カバン、ピスタチオの乗ったピュアチョコのコーティングのマジパン、Kamoさんのコレクションのイコンのシール。　他、私のボビンレース用のピロースタンド。　

 忙しい時ほど、旅は必要。　

 前しか見えなくなった時に、他の方向へも目を向ける大切さを、思い出させてくれるから。　寄り道、道草、くたくたになるまで歩いて、いつもより、たっぷり眠れそう。　リセットして、明日からまた新しい一日の始まり♪

コメント 19

並木道いいなぁ。。。
そのままどこまでもまっすぐ行ってみたくなりますね。
いま「真珠の耳飾りの少女」は友達のところへ行っているので、戻ってきたら、どの場面のロケ地か見直してみよう♪

方向音痴ですぐに迷子になってしまう私は、ナビをしつつ、写真も撮りつつ意識的に寄り道ができるInatimyさんが憧れです♪
by てんとうむし (2008-10-14 00:09) 

どの風景も絵になる場所ばかりでため息が出ますね。
並木道って何故わくわくするんでしょう～？
トラチちゃんの絵を描かせて頂きました。
似てないかもしれませんが、ご容赦くださいませ。
by ミカチ (2008-10-14 00:17) 

こんにちは。。

８月２２日にコメント書かせていただいたdorinです。
９月下旬から予定通りAmsterdamに来て、タノシイ居心地よい
時を過ごしています。

いつもInatimyさんのblogにあふれている、あたたかなココロに
感激し、とりわけステキなphotoたちに釘付け～デス。。
また、いろンな新しいステキな土地を教えていただけて、オイシイ情報
も満載でうれしいです・・。　ありがとう～デス・・。

Dammeってほんとうにキレイな街ですねぇ～。。
「真珠の耳飾りの少女」の作家さんの作品はすごくいいなぁ～って
思ってたら、映画もとってもよかったので、てんとうむしさんのように
また見直してみたいな～って思いましたぁ！
次回にはぜひ行ってみたいなぁ～・。って思いました。

by dorin (2008-10-14 00:50) 

見ているこちらもゆったりした気分になりました。
カーナビ、うちはつけてないのですが、日本語のおねえさんの声のカーナビがあったらつけたい、とうちのドイツ人は言ってます♪
by めぎ (2008-10-14 02:56) 

窓ガラス越しの像、また趣が違ってステキですね＾＾
家の近所に、“とっても”短い並木道があります。
自転車でそこを通るとき、
なんか嬉しくなっちゃうんですょねー。

＊忙しいときほど、旅が必要＊
今の私に必要なヒントかな？
ありがとうございます♪
by hatsu (2008-10-14 05:39) 

並木道って素敵ですよね～・:*:・(*´艸｀*)ウットリ・:*:・
木のベンチがある石畳もニッチの像も素敵です。
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 ってリヒャルト・シュトラウスの聞いていて楽しくなる交響詩がありますよね。
by miffy (2008-10-14 11:45) 

オシャレな旅行雑誌を見ているようなしゃしんばかりだわぁ～
ﾟ.+:｡(´∀｀)ﾟ.+:｡
by ぴーすけ君 (2008-10-14 13:12) 

並木道に運河。
私ったら、コローの絵を観たばかりでしょう？
まるで同じだわ～～～とこちらにお邪魔して思いました。
フランスの景色も似通っていたのでしょうか？

動く車窓から美しい写真を撮られるInatimyさんは凄いです。
（牛さんバッチリカメラ目線！）
私も旅に出たいです～～～旅愁にそそられます。
by Roseblanche (2008-10-14 15:05) 

ステキな旅ですね。
運河を挟んでの並木道、圧巻されました。
いつまでも、眺めていたいかも～♪
by nao (2008-10-14 17:11) 

素敵な並木道ですねぇ~(*＾＾*)
日帰りでこんなに素敵な街に行けるなんて
羨ましいです~♪
青い窓枠の市庁舎の写真も、とっても素敵ですね♡
by chercher (2008-10-14 17:33) 

ヨーロッパでもカーナビは普及してきてるんですかね。
かつては地図を横目に、そして知ってる町の名前の表示をたよりに
車を走らせたものです。
by Jalana (2008-10-15 01:09) 

日差しの少し弱くなった欧州の秋、良いですね！そして、お教えいただいたドイツのブタの博物館は是非行ってみたいです。ドイツの同僚は、カエルファンなので、ドイツにはカエル博物館もあるのでしょうか。
by Krause (2008-10-15 05:19) 

そそ、ナビさん(ウチは綺麗な女性の声)の言うこと聞いてると、とんでもないことになったりしますからね～。ナビとも上手く付き合っていかなきゃなりませんね（＾－＾）
by 夢空 (2008-10-15 07:24) 

私も並木道好きです♪
ちょっと寄り道、というよりは、じっくり堪能できる寄り道でしたね＾＾
どの写真も素晴らしくて、ため息つきながら拝見しました♪
秋のヨーロッパはやっぱり素敵だわ～。
ナビ役、お疲れ様でした＾＾
by MOCOMOCO (2008-10-15 10:04) 

→toraneko-tora さま、TaekoLovesParis さま、yk2 さま、
takemovies さま、whitesox さま、luces さま、blume さま　　
nice! ありがとうございます。

→てんとううしさま　
私も最初は方向音痴でした～。　でも、方向感覚のないふたりが歩くのって、とっても恐怖・・・帰れなくなる・・・と感じたので、意識して、来た道を覚えるように。　ここまでになれたのも、ある意味、Kamoさんのおかげです(笑)。

→ミカチさま　
昔の人も、並木道に魅せられて、あちこち作ったんでしょうね～。　
トラチの絵、ありがとうございました。　今日も、あんな顔で、だれ～っとしてますよ♪　

→dorin さま　
デ・ホーヘ・フェルヴェの自転車の記事にコメントくださったdorin さんですね。　オランダ滞在で素敵な日々を過ごされていて、よかったです♪
たくさんの温かいお言葉も、ありがとうございます。　恥ずかしくて小さくなってしまいそう・・・。　小さな町や村が好きなので、あまり大都会のお話は出てこないんですけどね・・・。

→めぎさま　
夢空さんのコメントによると、おねえさんの声、あるみたいですね♪　
イメージ的に、オランダのよりドイツのカーナビの方が、詳しくて性能良さそうな気がして、今度、ドイツで見てみようかな・・・なんて思ってます。　
　
→hatsu さま　
並木道のパワーってすごいですね。　自転車で走り抜けるのも、気持ち良さそう♪　お忙しい日々、体調くずされませんように。

→miffy さま　
ティル・オイレンシュピーゲル・・・気になって、読みたいなぁ・・・と思ったんですが、本の村と称されるダムでは、英語、ドイツ語、オランダ語、フランス語版くらいしかなく・・・あきらめました。　

→ぴーすけ君さま　
オシャレな、って言ってもらえて、ちょっと照れたり・・・でも、この村自体が絵になるところなので、被写体のおかげですねぇ。　

→Roseblanche さま　
ベルギーの南にはフランス・・・もしかしたら、並木道、似てるかもしれませんね。（フランスは、パリとアルザス地方しか行ったことないんですが・・・。）
流れる写真、幾度となく失敗を重ね、それでもしつこく撮っってきた成果、少しは出たかしら・・・。
　
→nao さま　
歩いても歩いても、並木道・・・自分の家がわからなくなりそう・・・。　羊や牛がいっぱいで、のどかな、いいところです♪　

→chercher さま　
日本だったら、これからの季節、紅葉を見て、日帰りで温泉に行けるし・・・とうらやましく思ったり・・・。　松茸、栗、芋・・・美味しいものたくさんですもんね～♪

→Jalana さま　
カーナビつけてる車、増えてきましたよ。　でも、私はあまり信用してなくって、地図のほうが好きだったり。　高速道路で、突然ナビに、右へ急旋回してください、って言われて、ビックリしたことが・・・。

→Krause さま　
スイスのバーゼルの近くの町に、カエルミュージアムあるみたいですよ。　13,600ほどのグッズが展示されてるそうです♪　　

→夢空さま　
すっかり信用すると怖いですよね。　我が家も、同名の別の地に、導かれたことがあります・・・。　やけに遠いなぁ・・・と、途中で気づきました・・・。　

→MOCOMOCO さま　
秋が一番いいのかもしれませんね。　バカンスシーズンも終わって、静けさを取り戻して。　ふふ、ムール貝もあるし♪　
by Inatimy (2008-10-16 20:31) 

青い窓枠と風車の赤い羽根が印象的！
最後のほうに登場している牛クン、
なんだか、色がブタさんのようですね～。
by blume (2008-10-16 20:32) 

→blume さま　
青、赤、並木の緑、薔薇の色、とカラフルですね♪
まるまるとしてるし、お鼻がピンク色だから、余計にそう見えるかも♪
by Inatimy (2008-10-16 20:51) 

Inatimyさんのフェルメール記事を読んで『真珠の耳飾りの少女』をご覧になりたいと思われていたけど、実はまだ、と云う方へお知らせです。
今度の日曜にBS朝日にてTV放映がありますよ。
東京でのフェルメール展に合わせて、なかなか良いタイミングですね（＾＾v。

http://www.bs-asahi.co.jp/movie/index.html
10月19日(日)午後1:00～2:55
by yk2 (2008-10-17 16:04) 

→noie さま、newyork さま　
nice! ありがとうございます。　

→yk2 さま　
情報ありがとうございました。　日本では、フェルメール展、大賑わいのようですね。　いいなぁ・・・見に行きたい。　そういえば、オランダではTVで『真珠の耳飾りの少女』見たことないですねぇ。　最近見たのは、ダムの決壊、地すべり・・・と災害ものが多いかも。　
by Inatimy (2008-10-20 22:30)