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旧市街広場で [チェコ]

 ようやく晴れた。

 記憶は、12月・1月のプラハに遡る。 冬のチェコは雲に覆われた日がほとんどだった。 カフェの誘惑に負けそうになりながらも、この機会を逃しちゃいけない、とカメラ小僧に専念。 プラハ城からカレル橋を渡り、そのままほぼ真っ直ぐにカレル通りを歩いてくると・・・

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 ・・・この風景に出会う。

 青い空に背伸びするかのように建つ時計塔を持つのは、旧市庁舎。 手前の白い建物も、ピンクの建物も全部そう。 増改築したり、お隣の建物を買い足したりして増やしながら旧市庁舎は大きくなっていったとか。

 この旧市庁舎で有名なのが・・・

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 ・・・天文時計。 午前9時から午後9時まで、毎時、からくりを見せ、素敵な音色を響かせるので、そのたび、この時計の前には人だかりが出来る。 天文時計には、上部に金色のニワトリの像、その下に、キリスト12使徒が姿を見せる2つの窓。 それから、2つの円。 

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 上の円は、天動説をもとにした天体の動きを示す天文図文字盤。 その両脇には像が並び、左から、虚栄心、守銭奴・貪欲、骸骨姿の死神、トルコ人・快楽。 プラハで買ったチェコ語のガイドには、右端の像が、トルコ人快楽の寓意とあったのだけれど、日本のガイドブックには、異教徒侵略。 おやおや、違いが。 この像は毎時、からくりの時に動くらしい。 骸骨が動くのは怖いなぁ。

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 下の円はカレンダリウムで、黄道12宮の周りに1月から12月までの農村での作業風景。 牛で大地を耕したり、草刈り、収穫、種まき、葡萄摘みなど。 で、黄道12宮とは、星占いでおなじみの牡羊座(白羊宮)から魚座(双魚宮)まで。 この両脇にある像は、左から、哲学者炎の剣を持った大天使ミカエル天文学者歴史記録者。  

 ちなみに過去、他の国で天文時計を見たことがあるのは・・・

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 ・・・このフィルムカメラの写真(Kamoさん撮影)、フランスのストラスブールの天文時計と、ドイツのミュンスターの天文時計(記事はこちら「ミュンスターの大聖堂と広場」)。

 で、話は戻って、プラハの天文時計の右側、旧市街広場に面した旧市庁舎の建物部分は・・・

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 ・・・こんな感じの出っ張り部分。 ゴシック様式の出窓。 こういうところ好き。 

 プラハ下水排水設備というのは、19世紀末、1895-1906年に英国の技術者W.H.Lindleyによって建設された。 彼の父親 William Lindley も有名な技術者。 ちょうど、この出窓の下、建物の地階に、その煉瓦造りの下水道への階段がある・・・と、チェコ語ガイドの図解に。 その下水排水設備は、1967年まで使用されたそう。   

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 旧市街広場から見た旧市庁舎はこんな感じ。 70mあるという塔を中心に、写真右にピンクの建物も、左側の白いのも、ピンクのも、また白いのも、写真左奥の建物も、旧市庁舎の建物。 買い足していった風がよく分かる。 

 写真左奥の建物は、壁面にスグラフィット装飾。 まず壁を木炭などで黒く塗って、その上に漆喰、さらに石灰などで作られた白い塗料。 乾いた後、壁面をかき削って下の黒い地を出して、人物や模様を描く方法・・・ということらしい。 天気の良い日で時間がある時にゆっくり撮ろうと思っていたら、あれよあれよと、オランダに戻ることになって撮れなかった・・・。

 滞在していたのは先に書いたように12月・1月。 時期的に、クリスマス・マーケットの時期。 

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 旧市街広場には、ギッシリとクリスマス・マーケットの出店が。 広場中央には、大きなモミの木のクリスマスツリー。 その向こうには、1365年に改築されたゴシック様式ティーン教会。 正式名称は、ティーン(税関)前の聖母マリア教会、という長いものらしい。 2つの塔の高さは80m。   

 もっと近寄ってみると・・・

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 ・・・こんなの。 左の建物は、石の鐘の家(プラハ市ギャラリー)でゴシック様式。 建物の角、ちょうど写真の下部分にギリギリ写ってるのが名前の由来の石の鐘。 手前の半円装飾のファサードを持つのは、ルネサンス様式の飾り屋根のティーン学校

 日が暮れ始めると、ますます賑わいを見せるクリスマス・マーケット

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 ポツポツ灯りもつき始めて、クリスマスツリーの装飾にも星が流れるようなイルミネーションが。 写真中央のティーン教会、左に石の鐘の家、さらに左の建物は、ゴルツ・キンスキー宮殿で、国立美術館企画展に使われている建物。 

 その宮殿の手前にかすかに写ってる像、旧市街広場の中央には・・

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 ・・・ヤン・フス像が。 ヤン・フスは、15世紀の宗教改革者。 唱えた主張が異端だとされ、撤回するよう求められたが信念をもって従わず、最後には火あぶりの刑に処せられたよう。 

 見たときは、すっかりクリスマス・マーケットの店に囲まれてしまってた。 

 さらに左側には・・・

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 ・・・聖ミクラーシュ教会がある。 バロック様式。 プラハ城を下ったところ、マラーストラナ広場に面したところにも、聖ミクラーシュ教会があるけれど、それは、チェコ語で Chrám 寺院 という単語が使われてる。 この旧市街広場にあるほうは、Kostel教会堂。 ・・・建物の区別って難しい。  

 この聖ミクラーシュ教会の右には、パリ通りという大きな通りがのびていて、イメージそのまま、ブランド物のお店が並ぶ華やかな場所。 一方、聖ミクラーシュ教会と写真左にちらりと写ってる建物の間にも、この旧市街広場につながる道があって・・・

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 ・・・かなり小さいけれど、広場がある。 その名も Náměstí Franze Kafky フランツ・カフカ広場。 Maiselova 通りとの角には、写真のように、カフカの像がかかってる。 

 というのも、実は、この角の家は、フランツ・カフカの生家だそうで・・・。 知らずに撮って、後で知った。 他にもカフカ絡みの像を撮ったけれど、それは、またいずれ。 

 ・・・初秋クリスマスマーケット、すっかり、季節はずれなお話でした。
もう少し待てば、季節一巡で、タイミングよかったかな。


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コメント 19

めぎ

ほんと、もうちょっとでこの季節ですね・・・
そして、それが間近に感じる今日この頃ですね。
一年はなんてあっという間なんでしょう。
by めぎ (2009-09-26 05:16) 

いっぷく

こんなに精巧に作られた大時計の時代もまだ天動説だったんですね、
ここでからくりの動くのを偶然にも体験しましたが、詳しいことはわからなかったので理解が深まりました。
by いっぷく (2009-09-26 07:11) 

母ちゃん

クリスマスマーケット! 私が今一番行ってみたい所なんです!! 寒かろうが一度はこの雰囲気を味わってみたいです!!! 素敵な写真ありがとうございました(^^)
by 母ちゃん (2009-09-26 08:32) 

TaekoLovesParis

Inatimyさんの記事に何度も登場「聖ミクラーシュ教会」。今では、この緑の丸い塔つきの建物、すっかりおなじみ。トラムの向こうに姿が見えたときの写真が特に印象に残ってます。

ストラスブールの天文時計、見に行きました。チェコみたいに毎時じゃなくて、一日2回だけ。教会の中にあるので、チケットを買って中にはいり説明を聞きながら見ました。時計の写真、大きくきれいに映っててすごいですね。
どこから撮っているんですか?望遠?

by TaekoLovesParis (2009-09-26 09:35) 

Roseblanche

もう10月は目と鼻の先。
クリスマスのシーズンもあっという間にやってきますね。

天文時計って、どれだけの情熱と緻密さを必要としているんだろうって、
考えただけでも頭がくらくらして来ます。
(以前、江戸時代のからくり時計の再現ドキュメンタリーをテレビで見ていたのですが…からくり儀右衛門の万年時計というのでした…今の技術の粋を集めても難航を極めていました。)

クリスマスマーケットの華やかさをこちらで見せてもらうと、
この季節にプラハを訪れることが出来たら…と心から憧れます。
by Roseblanche (2009-09-26 10:40) 

luces

立派な天文時計、からくりが動いている所を見てみたい。
by luces (2009-09-26 15:23) 

miffy

天文時計って面白いですよね~
からくりが動くのを見る為に一日中へばりついてしまいそうです^^;
クリスマスももう間近ですね~
クリスマスツリーやクリスマスマーケットの写真を見るとワクワクします^^
by miffy (2009-09-26 21:35) 

てんとうむし

こうしてみると、チェコは金色の細工に彩られた街なんですね~♪
そこここに凝った細工がたくさんあって、街歩きのが楽しそう。
ミカエルのいるカレンダリウム、いつか実物を見てみたいな♡
クリスマスマーケットの灯りも、こころがあったまりますね^^
by てんとうむし (2009-09-26 22:56) 

匁

何度見ても飽きないプラハならの景色ですね。
この時期はもう寒いんでしょうね。氷点下ですか?
もうすぐクリスマスの季節始まりますね。
ああ忙しくなります。
by (2009-09-28 08:21) 

MOCOMOCO

なんて見事な天文時計なんでしょう!
じっくりとその動きを見てみたいです♪
夕闇に灯りの灯り始めたクリスマスマーケットも、とても綺麗な風景ですね~^^いつかヨーロッパのクリスマスマーケットめぐりの旅にも行ってみたいなあ♪
by MOCOMOCO (2009-09-28 12:35) 

フェイリン

カメラ女子なのでこんな綺麗な時計を目の前にしたらかじりついて
三脚用意して連射ですかねwって三脚は禁止なんだろうなぁ~。
親戚にこちらの時計の動画を見せて貰いましたが、
凄い人ですよね!世界中から見に来られてるんですね~。
by フェイリン (2009-09-28 13:31) 

aranjues

天文時計確か見たはずなんですが。。。
先日ある音楽番組でスメタナの特集を放映してて、
プラハを思い出しておりました。
by aranjues (2009-09-28 13:35) 

夢空

天文時計の説明を読んで、フムフム~φ(・ェ・o)メ
早いですね~クリスマスの光景もうすぐですね☆
by 夢空 (2009-09-28 14:52) 

rino

旧市街広場は本当に綺麗ですね。ティーン教会も旧市庁舎も、聖ミクラーシュ教会も、ヤン・フス像も実際に見てみたいなぁ~
もう少しすると、クリスマスの季節になりますね。あっという間の1年のような気がします。
by rino (2009-09-28 20:48) 

Jalana

いい雰囲気ですね。
寒い時期ですけど、マーケットの照明の色が暖かい。
by Jalana (2009-09-29 00:38) 

どらっち

カフカの顔が、ちょっと恐い。
時計、すごいですね。じっくりと実物を見てみたいです。
by どらっち (2009-09-29 05:24) 

yk2

ティーン教会の建物、堂々たる威容ですね~、まるでロケットみたいな尖りっぷり(^^;。 ところで教会と寺院の単語の使い分け、どうなってるの???。
by yk2 (2009-09-29 22:13) 

hatsu

旧市庁舎、素敵ですね~^^
子どものころから、出窓って憧れ♡
いつか出窓のあるお家に、住んでみたいなぁ。
“スグラフィット装飾”、調べて見てみました。
とっても魅力的ですね☆
by hatsu (2009-10-02 10:04) 

Inatimy

→皆さま 
たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 
お返事が遅くなりごめんなさい。 風邪ひいてました・・・。 オランダはもう最高気温が16℃前後となり、室内の暖房がつくかつかないか微妙な線で、寒くて部屋の中でフリースです・・・。

→めぎさま 
やっぱり、クリスマスマーケットはドイツのものが一番いいなぁ・・・と実感。 プラハのは、雰囲気だけがクリスマスで、中味は普通のお土産もの、って感じのがほとんどでした・・・。 今年はやっぱり、ドイツのクリスマスマーケットに行こうかな。

→いっぷくさま 
不思議ですよねぇ・・・天動説の存在がいかに大きかったかが伺えますね。 そんな中、地動説を唱えた人の勇気って物凄い・・・。 安野光雅さんの絵本で「天動説の絵本」というのがあるんですが、これはキレイでした。

→母ちゃんさま 
クリスマスマーケットは、ドイツのがお勧めです。 特に、ニュルンベルクのはスゴイらしいですよ~。 屋台でもおいしいものが売られているので、食べ歩きも楽しいです♪

→TaekoLovesParis さま 
「聖ミクラーシュ教会」がプラハに2箇所もあるなんて混乱しますよねぇ・・・。 あ、トラムの向こうに姿が見えた聖ミクラーシュ教会は、マラーストラナ地区のほうのですね♪ 
ストラスブールの天文時計、あれって、1日に2回だけだったんですか~。 私ラッキーだったかも・・・。 でも、私の印象に残ってるのは、教会のそばのチョコレート屋さん。 ジャガイモそっくりにつくられたマジパン菓子を買って食べました♪

→Roseblanche さま 
10月に入っちゃいましたね。 新年まであと2ヶ月もないと思うと慌しくって・・・。 精密時計を作った人は、他に同じものを作れないように、何者かに襲われて目を潰されてしまったそうです・・・とっても気の毒。 現在の技術をかき集めたら、いったいどんなからくり時計が出来るでしょうね♪ クリスマスマーケットは、ぜひ、ドイツへ・・・プラハのは普通のお土産っぽかったので・・・。 見た目は雰囲気がいいんですけどねぇ・・・。

→luces さま 
動いてるところを見るには、時計の前の好みの位置に陣取って、ず~っと待ってなきゃいけなくって・・・。 1回だけ見たかなぁ。 

→miffy さま 
からくりを見るためにへばりつくうなら、この前にあるカフェでゆったりのんびりがお勧め♪ もちろん2階席のあるところで♪ この時期は寒いんですもの。 我が家も、今年は、ドイツまでクリスマスマーケットに出かけようかな、と考え中です。 ワクワクですよね♪

→てんとうむしさま 
そう言われれば、金細工が多いかも~。 オーストリア帝国の支配下だったから、リッチな雰囲気も似てるのかしら。 細工も、紋章も、看板も、石畳も、カフェも・・・とかなり楽しい街あるきかな♪ 天使さま探しも素敵かも。 チェコのマイナス気温の冬は、乾燥してて、寒さに麻痺してしまいそうな感じ・・・カイロ必須♪

→匁さま 
12月と1月のプラハしか知らないので、どうなんだろう・・・今の時期はもしかしたら、まだオランダの方が寒いのかも。 オーストリアのウィーンあたりでは、まだ上着もいらないって言ってたので、その上のほうにあるプラハも、そんなに寒くないはず。 オランダは、強風もあり体感温度低いです。 年末まで2ヶ月弱・・・忙しいですね~。

→MOCOMOCO さま 
プラハのこの天文時計を見るなら、是非、春か秋くらいがいいかもしれません。 夏は暑いそうだし、冬は厳寒です~。 クリスマスマーケットは、オランダは有料のところが多いし、プラハのは、中身が普通のお土産屋さんっぽいし、スペインはなかったなぁ・・・やっぱりドイツが一番かな。 

→フェイリンさま 
三脚はさすがに無理かも・・・でもこの前にカフェやホテルがあるので、そのあたりを陣取って撮影狙ってみるのも手かもしれませんね♪ 時計の前は物凄い人です・・・人がいないときは、馬車も通るし・・・。 

→aranjues さま 
プラハではお忙しかったんでしょうね・・・。 スメタナもチェコの人でしたね。 「我が祖国」の中の“モルダウ”は有名ですものね。 プラハのスーパーには、面白そうなビールがいっぱい並んでましたよ♪

→夢空さま 
天文時計の説明、書いておかないと、私、すぐ忘れちゃうので・・・・。 いつも見たところを後で調べて、フムフム・・・です。 日本だったら、そろそろ年賀状の申し込みかなぁ・・・早いなぁ1年は。 

→rino さま 
旧市街広場は、のんびりゆったりお茶しながら見て回るのがいいのかも。 我が家はいつもバタバタと通り抜けしながら撮影してたので・・・・。 クリスマスマーケットがない時期のほうが、広場を楽しむにはいいかも。 クリスマスの頃は、欧州へまた来られるかな?

→Jalana さま 
雰囲気だけはいいですよ~。 近寄って屋台を見ると、ふつうのお土産の品だったりします・・・・。 でも食べ物は面白いかも。 ハムの塊をゴロゴロ回しながら焼いてるところは魅力的~♪ 

→どらっちさま 
カフカの顔・・・確かに怖いっ。 頭だけの像って、不気味かな。 私も図画工作で作った友達の顔、母に捨てられました・・・・。  天文時計は手入れが行き届いてて、キレイです。 我が家も掃除しないといけないなぁ・・・。

→yk2 さま 
教会と聖堂の使い分け・・・はてさて・・・どうなんでしょうねぇ。 ガイドブックによっても、使ってる名称が違ってたりする場合もあるし。 そもそも外国語を日本語にする際に、概念のちがいから、ある程度の意味の差が出てくるので、複雑ですよね。 ティーン教会の塔をデザインした人、すごいセンス♪ こういう発想、いいなぁ。

→hatsu さま 
出窓って私も憧れでした~。 こういうでっぱりがある家って、日本ではあまり見ないから、よけいに惹かれますね。 日本の家屋での私の憧れは、やっぱり縁側かな~。 縁側のある家って好き♪ 日向ぼっこしたり、お茶飲んだり、便利ですねよ。
by Inatimy (2009-10-03 23:31) 

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