ドニの中庭に [フランス・ミュージアム]
何色が咲くのかな。
どんな薔薇なんだろう。
色も形も、すでに決まってることなんだろうけれど、
どこか、その他にも内に秘めた可能性と呼べるものがあるような気がする。
運命は変えられない。
人はそう言うけれど、その中でも自分が納得できる日々を過ごしたいな。
・・・自分ではどうにもならない状況に直面することも多いけど。
話は、4月初旬に、モーリス・ドニの美術館と庭を訪れた日の続き。
敷地内は、とっても素敵な雰囲気が漂う場所。
あちこちに彫刻もある。 それもブールデルの。
寝違えたような半人半馬は、『瀕死のケンタウロス』。
Antoine Bourdelle アントワーヌ・ブールデル(1861-1929)は、
フランスの彫刻家。
そのケンタウロスの像の前に、庭に下りる階段がある。
花を見ながら、緑の間をのんびり歩く。 鳥の声を聞きながら。
先の庭の記事で紹介した、テーブルとベンチの置いてあった芝生の広場。
(その記事は、こちら「パリ脱出」)
中央の淡い紫色の花をつけているのがライラック。
その右あたりに下りてきた階段。 その先は、なだらかなスロープ。
左端の大きな窓がシャペル(礼拝堂)のステンドグラス、
"La vie du Christ" 「キリストの生涯」。
サンドを食べてたのは、そのステンドグラスの左の方にあったベンチ。
でも、この位置で、建物を見ながら、お昼を食べたほうがよかったな・・・。
この建物の外観は、モーリス・ドニの絵にも登場する。
美術館に入って正面奥に掛けられていたのが、モーリス・ドニの肖像画。
"Autiportrait devant le Prieuré" 1921 『プリウレ前の自画像』。
眩しいほどの照明でよく見えないので、美術館のパンフから・・・
中央のモーリス・ドニの背後に、建物と庭に下りる階段。
右側にドニの子供たちの姿。
右上には、肩を抱き合う女性二人の姿。
1919年に最初の妻マルトを亡くし、その2年後に出会ったのが
Élisabeth Graterolle エリザベッツ・グラトロール。
明るくて聡明で、素敵な声の持ち主、それに加えて、最初の妻マルトにも似てたらしい。
ドニは残された二人の幼い子供と孤独を感じ沈みがちだったけれど、
彼女と出会ったことで、元気を取り戻したみたい。
モーリス・ドニは、エリザベッツと結婚した。
その肩を抱き合う女性たちは、マルトとエリザベッツ。
亡くなったマルトも認めてくれるだろう、ということらしい。
この絵は、もう一枚ある。 でも背景が少し異なってる様子。
イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館が所蔵している、そのドニの自画像は、
Taekoさんのブログで見せてもらった。→ クリック「ウフィツィ美術館の肖像画展」
これは、美術館にあったモーリス・ドニの写真。
自画像の姿より、もうちょっとお年を召した頃かな。
階段前のライラックは、とってもいい匂いをはなっていた。
この階段を上がって左へ。
建物横を歩き、シャペル(礼拝堂)の壁に沿って曲がると・・・
・・・ブールデルの彫刻。
左は、『聖母子』もしくは『わが子を捧げる聖母』と日本語で呼ばれてるもの。
右は、Monument à Mickiewicz 『ミツキェヴィチのモニュメント』。
生い茂った竹笹に囲まれてた。
Adam Bernard Mickiewicz
アダム・ベルナルト・ミツキェヴィチ(1798-1855)は
ポーランドの詩人・作家・政治活動家。
そして、これがモーリス・ドニのアトリエ。
シャペル(礼拝堂)のそばにある。
ここは公開されてないようで、手前にロープが張られ、中には入れなかった。
さっきのポートレート写真は、この中で撮られたものだったのかな。
シャペル(礼拝堂)の後部の外観。
どこかで見たような、と思ったら、これもドニの絵に登場してる。
右は、"Communiantes devant la chapelle du Prieuré"
『プリウレ礼拝堂の前での聖体拝領者』・・・・・・かな。
シャペル(礼拝堂)の扉の前を過ぎると・・・
・・・中庭に出る。
前記事で、見おろしていた桜の花の咲く庭は、ここ。
上の階の右から4つ目の窓から。
満開の花の下から建物を見る。 シャペル(礼拝堂)の外壁には小さな鐘が。
屋根の上の風見鶏。 うららかな春の日。
美術館建物に向かって矢を放とうとしているのは、ブールデルの彫刻、
"Héraclès Archer" 『弓を引くヘラクレス』。
モーリス・ドニがダイニングルームの装飾画
"L’Éternel Printemps" 『永遠の春』を描いたガブリエル・トーマの邸宅にも、
ブールデルの彫刻があったそうな。
邸宅を壊す時に、ドニの装飾画と一緒に移されたものなのかな、と思ったけれど、
このヘラクレスは、パリのブールデル美術館からのものらしい。
美術館の様子がよく分かる、Taekoさんの「マダム・グレ回顧展」。 ←クリックどうぞ。
シャペル(礼拝堂)の扉の前に、敷地外に出る階段があった。
来る時は、敷地横の門から入ったから、気がつかなかったけれど。
階段を上がりながら、枝の隙間からヘラクレスをのぞき見る。
これって、てっきり、
誰かの顔面に蹴りを入れながら弓を引いているのだとばかり思ってたけど、
違うんだって・・・。
階段を上がって来て、振り返る。 また来よう。
美術館前はこんな坂道。 起伏の激しい場所。
結構、車が多くて、渡りそびれ、
来る時は、写真左側の坂道を少し降りたところにある門から入った・・・。
道路を渡り、真正面に続く道をまっすぐ歩いて行く。
途中にある建物も楽しみながら。
モーリス・ドニの美術館から、街の中心までは、徒歩で10分ほど。
この街の観光案内所の前の道から、まっすぐ来たところに美術館があり、
途中にも、こんな風に矢印の案内もあるので迷わない。
上から2つ目に、Musée Maurice Denis の文字。
煉瓦の縞々窓まわりに、淡いブルーグレイの窓扉。
シンプルだけど、オシャレ感じ。
あれこれお店の並ぶ通りに出て、タルトと珈琲で、ホッと一息。
春は苺のが食べたくなるなぁ。
可愛い雑貨のお店もあるので、この後は、ふらふらウィンドーショッピングも。
サン・ジェルマン・アン・レーは、こんなお城があるところ。
お城の礼拝堂もキレイそうだ。 ゴシックっぽい。
お城の名前は、Château de Saint-Germain-en-Laye
そのまんま、サン・ジェルマン・アン・レー城。
パリの中心からは、RER(高速郊外鉄道)で約20分ほど。
シートもカラフルで可愛い感じ。
最寄りのメトロの駅で目的地までの切符を買って、
あとはRERに乗り換えるだけなのも気楽。
まだまだ私には、パリにある7つの鉄道の駅の使い分けは難しいから。
RERでは、3回ほど川を渡る。 しかも、どれもセーヌ川。
ぐねぐねぐね~と曲がりくねってるんだなぁ・・・。
モーリス・ドニの美術館で、本の他に買ったポストカード。
この美術館のガイド本は、アンティーク本かと思うほど、ものすご~く古そうで、
重くて、高かったので断念。
実は、美術館を訪れた2日前にもサンジェルマン・アン・レーに来ていた。
その時のお話は、また次回。
まだ続くのぉ?って?
庭も屋内に負けず美しいですね。
趣のある庭に彫刻がよくなじんでいます。
ゆっくり見て回れば丸一日楽しめそうです。
タルトがおいしそう。たまりません。
by luces (2011-05-13 20:57)
寝違えたような・・・確かに痛そう。
いい季節になってきましたね。
by Jalana (2011-05-13 21:14)
とても素敵なお庭の美術館ですね~。
いい時期に行かれましたね^^桜の花もライラックも綺麗に咲いていて空もきれい。
今頃はこのバラも咲いている頃かしら?何色のバラが咲いたのかしら。
アトリエの概観も蔦が絡んでいていい雰囲気。
こういう美術館は1日居ても飽きないでしょうね^^
by MOCOMOCO (2011-05-13 21:17)
今はすっかり緑が濃くなって、こんな風に薄緑の木々や白い桜が咲いていたのはホンの昨日のことのような、遠い昔のような、不思議な気がします。
by めぎ (2011-05-14 05:29)
赤色のタルトに目が釘付け。
by ぷーちゃん (2011-05-14 09:16)
ステキなお庭ですね、ライラックの木が大きいですこと。
寝違えたような彫刻を見たら きっとドキッとするかも。
いちごのタルト、なんて美味しそうなんでしょ!!
by やよい (2011-05-14 13:40)
やっと、花粉症もおさまり、木々の青さも爽やかに
感じられるようになりました☆
いちご満載のタルトですね~~(^_^)
by 夢空 (2011-05-14 21:42)
セーヌの川幅って広いのね!
一緒に列車でパリまで帰ってきたような気分♪
運命って変えられないのかしら?
どちらにしても、与えられた境遇をせいいっぱい、泣いたり笑ったりいろいろあるけど、最大限に生かして、味わって、楽しみましょ^^
続きのお話も待ってます♪
by てんとうむし (2011-05-14 22:58)
お庭もとっても素敵ですね~
蔦の絡まるお家ってなんとなく憧れなんですよね~
ブールデルの弓を引くヘラクレスはオルセーや上野の西洋美術館にもありますよね。
苺たっぷりのタルトももうひとつのチーズ?のも美味しそうです~
by miffy (2011-05-14 23:18)
Inatimyさん、リンクありがとうございます。モーリス・ドニ美術館の中庭のブールデル彫刻は、陽を浴びて、生き生きしてますね!本家ブールデル美術館では、陽の当たらない裏庭で、ひっそりでした。彫刻は置き場所によって、ずいぶん違うことを実感!
このお庭、静かでのんびりしていいですよね。ここでランチだったんですね。
行ったのに、最初の記事のとき、どこだかわからなかったんです。トホホ。
礼拝堂の入り口が描かれた絵もあったんですね。実際の建物の写真と
並べておいてくださったので、興味深かったです。
桜の季節は、写真がいっそう素敵でした。
by TaekoLovesParis (2011-05-14 23:51)
また来よう、また来て静かな時間を過ごそう…と思わせてくれる美術館ですね。PCの向こう側から一緒に見て回って、ゆっくりした時間を過ごさせていただきました。
こういうシンプルなタルト、大好きです♪
鉄道のシートもなんて可愛い配色…!
日本のにもこんな明るさがあってもいいのになあ…☆
by ネム (2011-05-15 01:48)
ケンタウルスさんの像をみて、ついつい笑ってしまいました。「寝違えた」って、本当にそんな感じです。瀕死には見えないなあ。
by HIROMI (2011-05-15 09:22)
帰りのRERも混んでいないようで良かったですね。素敵な郊外の日帰り旅行を一緒に楽しんだようでした。ドニの絵もブールデルの彫刻もお庭の植物もゆっくりと楽しめたようですね♪
by rinochi (2011-05-15 14:26)
フィレンツェのドニさんの画像の次のライラック、
一瞬絵かと思いました。ライラックはきわめて数少ない
思い入れのある花、、バックのボケ具合といい、
この画像好きですよ。
パリの町中以外のセーヌ川の様子って滅多に見る事ないと
いうか、初めて画像で見たかも。
私もイチゴが食べたくなりました。
by aranjues (2011-05-17 01:25)
こんなぶらぶら歩き、してみたいなぁ。。。
旅慣れないと、こういう美術館散策などはなかなか出来ないのではないかしら。
海外に住むって、想像がつかない大変なこともたくさんあると思うけれど、
どうか、存分に楽しんでくださいね。
記事、とっても楽しませてもらいました~♪
by pistacci (2011-05-17 12:43)
美しいところですね~。
パりの美術館を全部訪ねるのは難しいので、こうして紹介していただけると、とても嬉しいです。
イチゴのタルト、おいしそう・・・(^^)
by JF (2011-05-17 14:03)
→皆さま
『ドニの中庭に』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 今、パリは晴れてます。 でも空気が冷たく18℃ほど。 週末は29℃越えになる予想。 暑くなったり涼しくなったり、外出の時に何着ようか迷う日々。
→lucesさま
午前と午後ではきっと庭の植物の様子も違うので、たーっぷり楽しめると思いますよ。 今頃は、花も変わって初夏の雰囲気になってるかな。 バラも咲いてそうだし♪ 街の中心には美味しそうなタルトのお店もチョコのお店もいろいろ。 ついつい買いそうになります。
→Jalanaさま
瀕死なんですけどね、どうも寝違えた風に見えちゃって。 いい季節ですけど雨がまとまって降らなくって、干ばつ気味・・・水不足が深刻になりやしないか心配です。
→MOCOMOCOさま
本当に、いい時期でした。 ライラックの香りが辺りに充満。 かすかに甘い匂いも。 バラもきっと咲いててアーチもキレイに見えるかもしれませんね~。 美術館も庭も一日中楽しめますよ♪
→めぎさま
春は駆け足ですよねぇ。 冬はあんなに歩みが遅いのに。 長かったなぁ・・・冬。 今は初夏の雰囲気かな。 でもちょっと肌寒いかも。
→ぷーちゃんさま
私もケースの中で、あの苺の赤しかもう目に入らなくって♪
→やよいさま
フランスに来るまで、ライラックはあまり眼中に入らなかったなぁ・・・オランダではモクレンや球根植物ばかり見てたかも。 春は赤い苺が美味しく見えますよね♪
→夢空さま
花粉症、今年はこちらも花粉がたくさん飛んでて大変でした・・・。 日本では杉だったけどこっちでは、マロニエが怪しい・・・。 でもおさまってきたので、レーズンパンとかぼちゃの種のパンを持って、どこか出かけたい気分です♪
→てんとうむしさま
セーヌの川はまだ一部しか知らないし、どこから流れ出て、どこまで続いてるのか、また調べないとなぁ・・・。 セーヌの他に、フランスの有名な川の名前くらい覚えておかなきゃな。 きっとワインの産地にも関係してるよね。 ということは美味しい郷土料理もあるかな・・・って。 私の楽しみは食べることがベースなのかも~。
→miffyさま
蔦の絡まるお家って、絵になりますよね~。 実際住むとなると、窓から虫が入ってこないか、虫苦手な私は心配なんですけど。 ブールデルの弓を引くヘラクレス、かなり数がありますね。 大きなものから小さなものまで、いろいろ作ってそうだ・・・。 苺のタルトの向こうのは、フランのタルトで、プリンみたいな味です。 焦げ過ぎちゃってますが美味ですよ♪
→TaekoLovesParisさま
こちらこそありがとうございます。 ドニの中庭のヘラクレスは、きっと夏場は手で触れないほど焼けちゃってるんだろうなぁ・・・なんて思ったり。 色も黒いから太陽熱集めそう。 季節によって庭の植物は大きく雰囲気を変えるから、どこか分りづらかったかもしれませんね。 ドニの絵はほとんど知らなかったので、写真をあれこれ撮って帰った後に家でドニの本を見て、あ~、ここだったんだ・・・と気付いたんですよ・・・へへ。
→ネムさま
パリの中心からすぐなので、今後も気軽に来れそうです。 鉄道のシート、ポップでしょ♪ 郊外のいい場所なので、車両もキレイでした(パリ中心などに比べ・・・)。 日本の列車は、別の意味で凝ってますよね、お座敷列車とか♪
→HIROMIさま
ケンタウルスさんにしてみれば瀕死で大変なんですけど、ぱっと見は寝違えなんですよねぇ。 頑張れ、負けるな、ケンタウルス。
→rinochiさま
端の駅なので座れるんですよ。 だんだんと人が増えますが・・・。 窓側に座って、3回渡る川を見るのも楽しみの一つ♪
→aranjuesさま
ライラックはキューケンホフ公園でガラスの花瓶に活けてあった白のライラックを見たのが私の中での始まりかも。 それまで球根植物ばかりに目が行ってて。 フランスにライラックがあちこちに咲いてるのはとても印象的でした。 いい香りです♪ 確かにパリでは中心を流れる目玉の川ですが、セーヌ川の始まりと終わりってどうなってるのか知らないので、気になりますねぇ。 どこまでいってるんだろう。 苺はやっぱり飲むより食べるのがいいかな(笑)。
→pistacciさま
パリのカフェにはなかなか入れないけれど、郊外への脱出は成功しました♪ 次は、市内7つの駅のどれかから電車に乗るのが課題かも・・・。 海外暮らしで、しかも短期間で引越ししてるので、言葉が中途半端なのがツライところ・・・・なんとか聞き取り上手に目指してフランス語がんばろうっと(笑)。
→JFさま
パリの美術館、どれだけ行けるかなぁ・・・。 ルーブル美術館も行かず、先に郊外の街のミュージアム行ってるし(笑)。 苺のタルト、これがケースに入ってた最後の1個♪ 余計に美味しく感じる私。
by Inatimy (2011-05-17 21:45)