ランチに、彫刻、恋の火遊び [フランス・パリ]
私が右に夢中になっていても、
隣で、左を向いてる人がいる。
私がしゃがみ込んで大地を見つめていても、
傍ら、そう遠くない場所で、空を仰いで見上げている人がいる。
同じ場所にいても、見えるものはそれぞれ。
一緒にいると、広がる世界。
話は、5月下旬になろうという頃。
午前中にいろいろ用事を済ませて、さて、ゆっくりソファにでも腰かけようと思ったら、
外でお昼食べよう、と、Kamoさんに誘われた。
やって来たのは、リュクサンブール公園。 リュクサンブール庭園のほうがいいのかな。
さっきまで晴れていたのに、薄暗くかげって、どんより。
後ろに見えてるのは、温室だったかな。
温室と言っても、オランジュリーというもので、
17~19世紀ごろに流行った、柑橘植物を霜から守って越冬させるための建物。
並んだ椅子をよく見ると、肘かけがあったり、なかったり。
座るなら、あるのがいいな。
ここにも、たわわに咲くバラ。 頭重たげ。
ふわふわ、美味しそうなお菓子に見えてくる。
・・・ おなか減ったな。
いったいどこでランチするんだろう。 この近くのカフェ?
と、思ったら、そのバラの見えるそば、公園のテーブルに、どん!と紙パック。
あら、スーパーマーケット MONOPRIX の自社製品、
パイナップル・ジュース。
テーブルにマス目があるのは、チェスができるようになってるみたい。
で、Kamoさんが取り出したのは、家にあったパン。
朝食の残りのバゲットとドライイチジクのパン。
ふふ、それだけ。
いたってシンプル。 ま、いいか。 こんなのもあり、ということで。
外で食べよう、と誘ってくれる気持ちが嬉しいし。
バラを見て、空を見て、流れる雲も見て、
あっという間に食べ終えて、今度は散歩。
グレイの色もさまざま。 濃淡のほかに、グリーンがかっていたり、ピンクがかっていたり。
自然が生み出した色・模様。 何だか分かる?
これは、プラタナスの木の皮。
いつもぷらぷらぶら下がる実に目を奪われるけど、
木皮もなかなかの面白さ。
そのそばには、ブロンズの像。 動きと流れのある作品。
Monument à Eugène Delacroix ・・・ウジェーヌ・ドラクロワへのモニュメント?
ドラクロワ(1798-1863)は、フランスの画家。
この像の作者は、Aimé-Jules Dalou エメ・ジュール・ダルー(1838-1902)。
やがて、公園内にある、リュクサンブール宮殿の前へ。
この宮殿は、現在、元老院の議事堂として使われてるそうな。
フランスでは、上院にあたるのが元老院で、下院にあたるのが国民議会。
国民議会のほうは、ブルボン宮殿を議事堂として使用してるよう。
建物が向かう風景はこんなの。 大きな池に噴水。
冬の間は水が抜かれて、すごく寂しげだったけれど、
今はスゴイ人の多さでしょ。
この日は、風が強かった。 時折、白い砂埃が舞い上がる。
靴は、すっかり真っ白・・・。
池では、リモコンで動くヨットが。
建物の向こうに見える丸屋根は、パンテオン。
ズームすると、遠くにあったヨットも近くに見えるな~。
波が、ちゃぷちゃぷ。 赤と白の帆に、ちゃんとフランスの国旗。
フランスに、パリにいるんだなぁ・・・と、まだ不思議な気がする。
現地に来るまで、フランス語には全く馴染みはなかったけれど、
ある時、“日本語になってるフランス語” というのに気付かされた。
ランデヴーとアヴァンチュール。
デート、密会、危険な恋・・・愛の逃避行。 ・・・ちょっとあやしげな匂いがしない?
で、本来のフランス語の意味としては、
ランデヴーは、会う約束、(医者などの)予約という意味。
アヴァンテュールは、1. (意外な)出来事、2. 冒険、3. 色事、情事。
" J'ai rendez-vous avec (人)" で、「私は(人)と会う約束がある。」となる。
ジェ・ランデヴー・アヴェック
受付の女性に、ボンジュール、と挨拶するまではいいとして、
その後、「~さんと約束があるんですが。」と言うのに、ついつい、頭の中が混乱して、
" J'ai aventure avec ・・・ " と言いそうになるので、自分が怖い。
ジェ・アヴァンテュール・アヴェック
なので、一呼吸おいて、頭の中で確認してから、言うようにしてる。
言ったら、きっと怪訝な顔されるか、大笑いされそうだ。 この2つ、似てるよぇ。
端には、池。 Fontaine Médicis 。 日本語では、メディシスの泉(噴水?)というらしい。
1630年ごろにできたもの。
青銅の像が、ギリシア神話の巨人ポリュフェーモス。
白い像が、美男子アーキスと海に住む女神ガラテア。 アーキスの腕にガラテアが。
巨人ポリュフェーモスは、ガラテアに恋してて、恋敵アーキスの存在が邪魔で・・・と、
いつの時代も、どこの国でも、恋愛はドラマティック。
ここは緑がいっぱいで、静かで、少し涼しげ。
周りにある椅子で、読書する人もちらほら。
マガモが泳いでるだけでなく・・・
・・・何だかわからないけど、鳥さんも。
この噴水の裏に回ると・・・
・・・こちら側にも別の噴水が。 Fontaine de Léda レダの噴水。
1806~1808年に建てられたもの。
もともとは別の場所にあったけれど、1856年にこの場所へ移された。
中央の浮き彫り彫刻には、レダと白鳥。 左にキューピッド、右には、ガマの穂。
ギリシャ神話の主神ゼウスが白鳥に化身して、レダを誘惑するという話。
こちらもアヴァンチュールなのね。
白鳥の頭が立体的に飛び出てて、
昔はこの口ばしからも、水が出ていた様子。
左上に、A.Valois 1807というのが読みとれた。
この部分を作ったのは、
Achille Valois アシル・ヴァロワ(1785-1862)という彫刻家らしい。
噴水の白鳥が観てるのは、こんな景色。 公園の柵の間から撮影。
パンテオンが見える。
ちょいとズーム。 この通りの街灯の並びが好き。
このパンテオンも新古典主義建築。
この彫像もパンテオンを見てる人。 素っ裸でラッパを吹いて踊ってる。 楽しげ。
この人は、もう一つの像と背中合わせに立っていて、向こうの方に小さく見えてるのは・・・
・・・こんな姿。 こちらは、腰にまとって、何か読んでる。
歩きながら暗記すると頭によく入る、という話を思い出した。
じっとしてるより、動きが加わった方がいいとか。 ・・・真偽は分からないけれど。
園内には、公園の地図もあるので、中では迷わない。 これでは、左が北。
この日は、左下の、反転L字の形の建物のあたりから入って、地図の上の方に進み、
リュクサンブール宮殿の前に出て、水色の池でヨット見た後、左上の方へ。
この後も、公園から、まだ少し散歩が続く。
長くなるので、また次回へ。
ランデヴーに、アヴァンチュール、
・・・ 間違いそうになるのは、私だけ?
肘掛けがあるのとないのがリズム感が出ていていいな。
by HIROMI (2011-07-08 21:40)
整列したイス、肘掛けあり・なしが混じっているのはどうも苦手・・・。ちゃんと分けてくれるといいのに、って思います。
by 母ちゃん (2011-07-09 06:36)
フランスの宮殿は議事堂になっていたりするのね。
日本のお城は観光地ばかりだけど・・・・○○県庁は旧○○城とかだったら面白いのにな、なんて考えちゃった。
by てんとうむし (2011-07-09 23:34)
avecっていうのは、単独だとwithとかそういう意味なのかな?
アヴァンテュールとランデブーの話は興味津々ですね。
寝起きに読んで「くすっ」と笑ってしまった。
プラタナスの樹皮。おしゃれだね。
迷彩みたいです。
by カエル (2011-07-10 08:09)
ここも広くて素敵な公園ですね~^^
家から持ってきたバケットとジュースのランチもなんだかお洒落に感じます♪
ランデブーは本来そういう意味だったんですね!
私もアバンチュールとごっちゃになっていました^^;
by MOCOMOCO (2011-07-10 09:28)
リュクサンブールも人がたくさんですね〜
いろんな方向を向いてるベンチに座って人を眺めながら食べるランチも素敵ですね。
初めて行った時かな〜時間がなくて公園内にあるいろんな彫刻を見ながらカスクートを食べたことがあります。
ランデヴーとアバンチュールって同じ意味だと思ってました。
予約の時は英語と同じでréservationを使ってました。
by miffy (2011-07-10 13:54)
チェス盤のテーブルで食べるパイナップルジュースとお家にあったパン、
手軽で気楽でリラックスできて美味しそうです♪
ギリシャ神話の彫刻などがひょいとあったりするって、さすが…☆
素敵な公園がたくさんありますねぇ^^
by ネム (2011-07-10 21:34)
妙に暑い春だったかと思えば6月はずいぶん涼しく、いや寒くなってしまってこの夏は冷夏かって感じでしたけど、またこのところ外で過ごすのが気持ちの良い陽気になりましたね。暑すぎもせず、寒すぎもせず。
今朝はバルコニーでコーヒーを飲みました。ただ外で飲んだり食べたりするだけでずいぶん気分が違いますね。
by めぎ (2011-07-10 22:52)
家にあるパンにハムと野菜だけ挟んで急遽お出かけ、というのは
よくあります。
公園ランチが出来る気持ちよい場所が沢山あって良いですね。
by luces (2011-07-11 14:00)
ここ秋も綺麗だろうなぁ~。
by ぴーすけ君 (2011-07-11 18:40)
今度のカメラ、すごい実力ですね。上から10番目のような広角に、
くっきり撮れる望遠、一枚目の写真も雰囲気があってすてきです。
バラの季節は、とってもきれいですね!ケル・ジョリー!
メディシスの泉は、夏でも涼しそうな場所ですね。日本全国梅雨明け。
昨日も今日も34度と暑い東京なので、そんなふうに思ってしまいます。
by TaekoLovesParis (2011-07-11 21:56)
あれれ、Inatimyさん、何があったの??っておもったら、
そういうことね(笑)
そういえば、こんな英語は使っちゃだめ、っていうような本の広告をみました。
日本語直訳英語にしちゃうと、あぶない英語になっちゃうらしいです。
知らずに使ってるかも、と思いました。アブナイね。
by pistacci (2011-07-11 23:36)
こんにちは。
あまりにもタイムリーな記事で、思わず熟読してしまいました。
先日のパリ滞在では、リュクサンブール公園すぐ近くの
小さなホテルに泊まったので、毎日のようにこの公園に行きました。
Inatimyさんはパリにお住まいで、大きな木のある公園が近くにあって
羨ましいです!
by Bianca (2011-07-12 18:17)
鳥さん、うまく撮れましたね。
by ぷーちゃん (2011-07-14 15:35)
ヨットがいいですねー^^
うふ、フランスの国旗がキュート♡
by hatsu (2011-07-16 05:34)
→皆さま
『ランチに、彫刻、恋の火遊び』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 日本語に入ってきてる外来語の存在って思ったより大きくて。 もう今ではカタカナなしではしゃべれないくらい。 タイトルにある(あ、これも外来語)ランチだって元は英語だし・・・。
→HIROMIさま
肘掛あったり、なかったり。 椅子として座ったり、テーブル代わりに物を置いたり、かと思えば足台にしたり、公園のベンチではない椅子、とっても便利♪
→母ちゃん
ふふ、ちゃんと分類しないとスッキリしないタイプなんですね、母ちゃんさん♪ ふふ、大雑把な私は、この中に色が違うものがあったって、平気~。
→てんとうむしさま
日本の県庁はお城じゃないけど、結構立派なのもあるよね~。 洋館ぽいものとか。 この「っぽい」ってところが味わい。 外国から見ても、これはちょっと違う・和風な隠し味って要素があるのがいいなぁ(笑)。
→カエルさま
フランス語のavec は、英語のwith、ドイツ語のmit、オランダ語のmet、スペイン語のcon・・・です♪ って、このavec も日本語でカップルのこと、昔、アベックって言ってましたよね(笑)。
→MOCOMOCOさま
公園近くのパン屋さんでバゲットのサンド買ってきて、ここで食べるのもいいですよ♪ パン屋さんに不自由しないパリ♪ ランデブーとアバンチュール、混乱するのは私だけじゃないって分かってホッとしました~。
→miffyさま
パリの公園、あちこち、どこも人が多くて・・・。 ランデヴーは、英語で言うとappointmentアポイントメントかな。 ランデヴーの場合だとReservation とは、微妙に意味が異なるかも・・・日本語だと『会う約束』と一語で言えないのがスッキリしないところ・・・。
→ネムさま
ネムさん家の焼きそば弁当に比べたら、お手軽すぎるくらいのシンプルさなんですけどねぇ。 このリュクサンブール公園には、彫刻が大小100体以上あるそうなので、それだけ見に来るのも面白かも♪ ランニングの人も多いので、変な格好で撮って邪魔しないように気をつけてます・・・。
→めぎさま
この夏は暑くなるって聞いてたので、オランダでもしまったままだった夏服を着るのが楽しみだったのに・・・今、フリース着てます。 膝掛けも・・・。 夏なのにすっかり秋のよう。 20℃ないですよねぇ。 それでもバカンスで出かけた人たちは曇り空で肌寒い中、ビーチで寝そべる・・・すごい根性ありますよね。
→lucesさま
いやいや、lucesさんところは手作りのパンですもの、手の込みようが違いますよ~。 小さい公園でも大きな公園でも、ランチしてる人たくさんいるので、気軽に外で食べやすいです♪ こういうの、いいですよね。
→ぴーすけ君さま
秋は、落ち葉が凄いのではないかしらね~。 しっとりとした秋に、椅子で保温水筒から珈琲を・・・っていうのもいいかも♪
→TaekoLovesParisさま
買ったカメラ、なかなか活躍してくれてます♪ 上着のポケットに入れて気軽に取り出せるので楽々。 カメラを左から右へ動かすと連写してつなげてくれる、270度だったかのパノラマも撮れるので、なかなか面白くって。 メディシスの泉は、Taekoさんのブログでもありましたね♪ 葉っぱが生い茂って、ここは涼しく過ごせそうです。 といっても最近22℃くらいの日が多くって。 朝は14℃くらいだし・・・。
→pistacciさま
フランス語初心者の私は間違いだらけの会話の連続・・・しどろもどろ。 公園をあるく小さな子供がフランス語しゃべってるのを見て、うらやましく思うほど(笑)。 Tシャツに書かれてる英語があぶない英語だった、って話もよく聞きますね~。 ネイティヴじゃないと分からないニュアンスを理解するのはホント難しい~。 逆に、なんだこりゃ?の日本語Tシャツには楽しませてもらってます♪
→Biancaさま
いやいや、贅沢だって言われそうなんですが、望んでパリに住むことになったわけではなく、まったくある日突然知らされて、まさかパリに住むなんて~状態だったので、まずは暮らすための言語に苦労し、大都会が苦手な私は観光客にもまれて人酔いし、複雑な交通網に振り回され・・・です。
→ぷーちゃんさま
なかなかじっとしててくれないので、鳥さん撮るのも大変ですよねぇ・・・。
→hatsuさま
3色の旗ってなんかいいですよね。 旗の色にちなんでか、青・白・赤のコーディネイトのディスプレイも多く見かけます♪
by Inatimy (2011-07-18 16:08)