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翼あるもの、眠る人・・・大聖堂で見たもの。 [フランス・パリの外]

 いつから一緒なのか、思い出すのに困るほど長くって

 いつまで一緒なのか、それは誰にも分からなくって

 でも、前世もふたりはずっと一緒だったのかもしれない。

 もしかすると・・・・・・もしかするとのお話。

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 仲の良さそうな羽の生えた怪物を見たのは、9月下旬。

 パリより北のピカルディー地方にある街、アミアンノートルダム大聖堂に訪れた日の続き。
 外壁につくガーゴイルや正面のポルタイユを楽しんだ後、中に入ると・・・

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 ・・・目の前に広がる大空間。 長さは145m、幅(翼廊で)が70m。

 天井が遥か上にある。
 それもそのはず、高いところで42.3mで、フランスで一番の高さなんだそう。
 写真中央に小さく見える人と比べると、分かりやすいかな。

 この大聖堂は、床も見どころの一つ。

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 波々だったり、万字だったり、格子だったり・・・白と黒のさまざまなパターンの中に、
 13世紀にデザイン設計され19世紀に復元された八角形迷宮

 椅子が並んでたので分かりづらかったけれど、ミニチュア版が、片隅に展示されてた。 
 大聖堂に訪れた巡礼者たちは、床に膝をついて、迷宮黒のラインをたどったのだそう。
 キリストが歩いた苦難の道を歩くかのように。

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 迷宮の中心にある八角形の石のプレート。 そこには4人の姿が。

 司教 Évrard de Fouilloy  エヴラール・ドゥ・フイヨワ と、
 大聖堂の建築家3人 Robert de Luzarches ロベール・ドゥ・リュザルシュ
 Thomas et Renaud de Cormont トマ・ドゥ・コルモンと、ルノー・ドゥ・コルモン

 現在見られるこの大聖堂の形の基盤を作った人たち。

 ちなみに、これもコピーで、オリジナルは、ピカルディー・ミュージアムにあるんだそう。

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 振り返って、入ってきた方を見ると、バラ窓の下に、大きなパイプオルガン

 バラ窓の直径は13m。 大聖堂正面の王様のギャラリーの上にあったもの。
 Rosace de la Mer 海のバラ窓と呼ばれているんだそう。

 そのパイプオルガンもちらっと写ったポストカードを買った。

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 第2次世界大戦中の大聖堂の中の様子。 積み上げられたおびただしい数の土嚢。
 椅子の大きさから、相当な高さだというのが分かる。
 守らなければいけないという人々の思いは、とても強いものだったんだろうな。

 アミアンの街は、ドイツの爆撃で深刻な被害を受けたけれど、
 大聖堂は、奇跡的にも免れたらしい。

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 左は、バロック様式の説教壇。 1773年のもの。

 右は、Chapelle de Notre-Dame du Puy ピュイの聖母礼拝堂
 中央の聖母の被昇天の絵を描いたのは、
 アントワープ生まれの画家 Frans Francken II フランス・フランケン2世

 ん・・・? 
 Frans Francken フランス・フランケン(1581-1642)なら、ベルギーで観たな。
 撮影した作品プレートにはなかったけど・・・・そうか、この人、2世ってつくんだ ・・・。

 ブリュッセルMusee Royal des Beaux-Arts 王立美術館にあった。
 もう1人の画家と合作だったか、『バベルの塔』描いてた人だ。 
 (その絵は、こちら「帰りの列車まで時間つぶし」

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 翼廊の北側にあったバラ窓

 これを撮ってたのは・・・

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 ・・・南の翼廊。 見上げるとこんなところ。

 左に、南のバラ窓が見える。  よく見ると、天井や壁、あちこちにヒビが・・・。

 1220年~1288年にかけて建てられた大聖堂だしね。 
 もう築723年~791年? ・・・スゴイ年月。

 その頃の日本鎌倉時代
 探したら、神奈川県鎌倉市にある円覚寺が、1282年創建。
 あと京都の三十三間堂が、1266年に再建されて今に残る。

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 聖歌隊席の南の壁には、レリーフと下のニッチにお墓
 眠っているのは、大聖堂の64番目の司教 Ferry de Beauvoir フェリー・ドゥ・ボーヴォワ。 

 上のレリーフ部分には、このアミアン大聖堂最初の司教である聖人サン・フィルマン
 (スペイン語でのサン・フェルミン)のお話。

 左部分の街への到着から、右端、首を切られて殉教するまで。 

 上の飾り部分を見てたら・・・

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 ・・・あ、首を切られたサン・フィルマン(サン・フェルミン)。 

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 その右隣りにも、レリーフお墓が。
 ここに眠るのは、Adrien de Hénencourt アドリアン・ドゥ・エナンクール

 先のFerry de Beauvoir フェリー・ドゥ・ボーヴォワの甥(おい)にあたる人。

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 聖歌隊席についていた紋章を持った天使の像。 右は、内陣の天井からぶら下がってたもの。

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 内陣主祭壇と、チラッと見えた聖遺物。 どうも、っぽい。

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 回廊部分では、見事なステンドグラスが。 細かいので、一部撮りにした。

 下から、天使ガブリエルとマリアの姿の受胎告知
 キリストの降誕東方の三博士がやって来きたシーンかな。

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 青い部分がキレイだな。

 天気が良かったので・・・

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 ・・・色ガラスのスペクタクル。 ステンドグラスを通って来た陽の光。 

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 いろんなものがたくさんあって、あちこちキョロキョロ。

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 いつも、後で写真を見ながら、辞書片手に調べるのが精いっぱいだけど、
 貴重なものの中を歩いていたんだな・・・。

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 大聖堂の中には、2つの横たわったブロンズ像があった。 
 どちらも、このアミアンのノートルダム大聖堂の司教だった人。

 ひとつが、大聖堂正面から入って右側にある像で、
 Évrard de Fouilloy エヴラール・ドゥ・フイヨワ(1145頃~1222年)。

 1218年に落雷による火事でこの大聖堂全体がダメージを受けた時に、
 現在の大聖堂の姿となるゴシック様式での再建計画をし、
 建築家 Robert de Luzarches ロベール・ドゥ・リュザルシュを選んだ人。 

 像の足元の幻想的な生き物2匹は、を表したものなんだって。

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 もうひとつが大聖堂正面から入って左側にある像が、
 その後任の司教 Geoffroy d'Eu ジョフロワ・ドゥ(?~1236)。

 建築家ロベール・ドゥ・リザルシュも1222年に亡くなったので、
 後継者として Thomas de Cormon トマ・ドゥ・コルモンを選び、再建の仕事を続けた人。

 6頭のライオンによって下から支えられてる。
 こっちの像の足元にも、を表す生き物。

 ドゥ・フイヨワドゥ・リュザルシュドゥ・コルモンは、
 先に紹介した八角形の迷宮のプレートでも登場した人たち。

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 アミアンノートルダム大聖堂は、時間の流れがゆっくりで、
 人が少なく、とっても静かだった。 

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 礼拝堂もいろいろ。  不思議な感じ。

 日々の暮らしの中にあるのに、大聖堂は、外とは別の空間。 
 現在しか見えなくなった日常から一歩離れて、
 過去へも未来へも心の目を向けられる場所のよう。

 大聖堂内を歩くだけで、穏やかな気持ちになれた気がする。

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 この大聖堂には、Saint Jean-Baptiste 洗礼者ヨハネのものと推定される頭蓋骨がある。
 生で見たけれど、それを撮影するのはどうも気が引けて、ポスターにした。

 実物があるのは、北の翼廊から回廊に行ったあたり。 
 写真のようなガラスと金細工製のケースに入ってて、怖々ドキドキしながらチラリと見た。

 あと気になったのが、南翼廊側の扉のノブ。 だったよ。
 その時、Kamoさんはジャンヌ・ダルクの像を撮ってた。
 それぞれ興味があるものが違って面白い。

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 アミアンノートルダム大聖堂。 フランスゴシック建築も、味があっていいかも。

 さて、日帰りとはいえ、まだまだ時間もたっぷり。 
 ぶらりと街を歩こう。 お昼どこで食べるのかな。

 

 まだまだ、アミアンのお話、続きます・・・。


nice!(41)  コメント(17) 

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コメント 17

yuka

本当古い建物は面白いですね。案外中世とかってイスラムっぽいような幾何学模様もステキ♡
by yuka (2011-11-11 17:19) 

ぴーすけ君

ちいさいところまでおしゃれなのよね~。
by ぴーすけ君 (2011-11-11 19:32) 

laf

2枚目の写真の場所で半日1人で過ごすしたい。
少し疲れているおじさんです。
by laf (2011-11-11 21:41) 

めぎ

聖堂の白い色がとても印象的です。
by めぎ (2011-11-12 07:45) 

HIROMI

見所満載の寺院ですね。これを人間が作ったんだ。すごいなあ。
by HIROMI (2011-11-12 18:27) 

TaekoLovesParis

どれも写真がとっても綺麗。特に5段目の写真に見入ってしまいました。
きりっと背筋をのばさないと、って思えるほど、神聖な感じ。8段目のバラ窓はきらきら感が伝ってきます。その高さが、第二次大戦中の土嚢
からわかって驚き!
ディティールまで、きちんと説明してくださってるので、見どころがいっぱい、とわかります。
by TaekoLovesParis (2011-11-13 00:34) 

カエル

この大聖堂も素敵だなぁ。教会って外の雰囲気をシャットアウトして内部だけの空間で世界観が感じられるから、瞬間にワープする感覚です。こちらは天井も高くて、気持ち良さそうです。
すべてにおいて意味を持っているから、いろんなところが気になっちゃうね♪
by カエル (2011-11-13 12:28) 

母ちゃん

バラ窓がなんとも美しいですね~♪ 
by 母ちゃん (2011-11-13 21:04) 

りゅう

ステンドグラス綺麗ですね♪
解説本を手に、一場面一場面、じっくりと見たいです。
ステンドグラスを通した光のアートも素晴らしいですね。
私も生で見たいです!!(^_^)
by りゅう (2011-11-13 22:37) 

chercher

ステンドグラスの光に彩られた柱がとても美しいですね♡
神秘的で素敵です(*^^*)
by chercher (2011-11-14 14:34) 

miffy

内部もとっても素敵ですね〜
細かく一つ一つを見てたら何時間でもかかりそうですね。
床の迷宮スゴイな〜
小人になって辿ってみたいです(笑)
柱に映ったステンドグラスの光、美しいですね〜
by miffy (2011-11-14 17:30) 

てんとうむし

とても美しくて神聖な雰囲気がいっぱいで、なんだか言葉が出てこなくなっちゃう♡

お昼ご飯も楽しみだ^^

by てんとうむし (2011-11-15 23:04) 

hatsu

うっとり^^
バラ窓、ステンドグラスを通って来た陽の光、
どこを見ても、美しいものがいっぱいですね^^
by hatsu (2011-11-16 06:27) 

MOCOMOCO

ステンドグラスの色が光を通して柱に写っている写真、すごい~♪
こういう光の効果も計算して、昔の人は大聖堂を作ったんでしょうねえ~。
by MOCOMOCO (2011-11-17 09:13) 

Inatimy

→皆さま 
『翼あるもの、眠る人・・・大聖堂で見たもの。』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 クリスマスカード、そろそろ準備しないとなぁ・・・と慌ててカリグラフィーの練習中。 やっぱり日々の積み重ねが大事ねぇ・・・と整わない文字の形に苦笑い。 来年こそは改心しようっと。

→yukaさま 
いろんな国々を経て、あちこちの文化が伝わってきたり、伝わって行ったりなんでしょうね。 風呂敷の唐草模様も遠いところから来たみたいだし♪ 面白いですよね~。

→ぴーすけ君さま 
時代が新しくなるにつれ、だんだん簡素化&コストダウンされちゃって、なんか物足りないなぁ・・・と思ってしまう最近の建物。 ごてごての装飾見過ぎたかな。

→lafさま 
お忙しい日々で、お疲れですねぇ。 年末年始はゆっくりできるかしら。 いいこともいっぱいありますように。

→めぎさま 
聖堂の色って、どこの産地の石を使うかで変わりますよね。 黄色みがかった石や赤い石もあったりで。

→HIROMIさま 
ここは、大聖堂にしては、かなり短い期間で完成したみたいですよ。 それでも68年間ですけどねぇ。

→TaekoLovesParisさま 
5段目というと正面入り口上にあるバラ窓ですね~。 見上げても、この一から見下ろしても、スゴイ高さですよねぇ。 積み上げられた土嚢に守られて、今に至る大聖堂、まだまだ紹介しきれない部分がたくさんありました♪ パリのノートルダム大聖堂より、静かでゆっくり見られてヨカッタです。

→カエルさま 
神社やお寺だと敷地内からすでに神秘的で厳かな雰囲気に包まれてるけれど、大聖堂は前に広場があるくらい。 それでも扉をくぐって中に入った瞬間にその場の空気が変わるから不思議~。 解説が読めないので、気になるところ、全部撮り♪ へへ。

→母ちゃんさま 
バラ窓も、細かい模様が集まってて、そこを光がとおると、お~って感じです♪

→りゅうさま 
あとでネットで検索すれば出てくるだろう、なんて思ってたら、アミアンの大聖堂について日本語で書かれてあるものが意外と少なくって、慌てて辞書片手に調べる羽目に・・・。 ステンドグラスの色光は、天気のいい日の賜物ですね~。 素敵でしたよ、ここ♪

→chercherさま 
ステンドグラス、色ガラスを通り抜けてきた光、それが彩る柱・・・ただそれだけでも、ぐぐっと涙腺刺激される感じでした♪ 

→miffyさま 
ひとつひとつ見ていたら、きっと1週間ぐらい通いつけても見切れないかも~と思うほど。 あれこれ不思議なものもいっぱい他にありました♪ ここだけでなく、床の迷宮のある大聖堂が他にもあったみたいですよ。 となると、またそこにも行ってみたくなりますねぇ。

→てんとうむしさま 
ふふ、お昼ごはん楽しみにしてもらってたのに、あいだに秋の公園のお話が入っちゃってゴメンね~。 へへ。 

→hatsuさま 
美しもの、キレイなもの、不思議なもの、怖々見ちゃうもの、何でもありで大聖堂って見どころ満載♪ まだまだアミアンの大聖堂のお話、続きます~。

→MOCOMOCOさま 
ステンドグラスのある大聖堂や教会を見ると、もっともっと、と求めちゃいますね~。 大きなステンドグラスじゃなく、細長いタイプだったけれど、細やかな細工で全体撮ったら分からなくなるほどでした♪ 作るの根気いるよね、きっと。
by Inatimy (2011-11-18 02:52) 

ネム

なんて高い天井!!
それに、壮麗なパイプオルガン…
どんなふうに音が響くのだろうかと想像がふくらみます。
柱に映ったステンドグラス、なんとも言えず綺麗ですね。
コレがステンドグラスの醍醐味なのかな♪
by ネム (2011-11-22 01:42) 

Inatimy

→ネムさま 
音響良さそうですよね、この高い天井は♪  パイプオルガンも空気が振動するくらい、すごい音が出るのかな。 ステンドグラスからの色の光は、力がもらえそうな感じがしましたよ~。
by Inatimy (2011-11-23 20:59) 

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