シャイヨ宮の翼の中で [フランス・ミュージアム]
壊すことは、次の何かを作りだすこと。
昔は、そんな風に思ってたけど、
壊さずに再利用するのもありなんだ、と思ったのは、
初めて欧州を旅したあの時から。
話は前回の続きで、11月上旬のこと。
シャイヨ宮にある建築・文化財博物館には、現代建築の展示も。
さすがに実物大ではなく、模型だけど。
パリ4区にあるCentre Pompidou ポンピドゥー・センター。
設計したのは、イタリアの建築家 Renzo Piano レンゾ・ピアノと、
英国の建築家 Richard Rogers リチャード・ロジャース。
そういえば、アムステルダムのNEMO(オランダ国立科学技術博物館)の設計も、
レンゾ・ピアノだったな。
フランス南部のマルセイユにある Cathédrale la Major ラ・マジョール大聖堂。
別名 Cathédrale Sainte-Marie-Majeure サント・マリー・マジョール大聖堂。
1852~1893年に建てられたもの。
ロマネスク様式・ビザンティン様式というから、
パリのモンマルトルにあるサクレ・クール寺院と同じだ。
マルセイユというと、 ↓ 私はマルセイユは行ったことがなく、Kamoさんの写真でみただけ・・・。
丘の上に建つノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂がパッと思い浮かぶけれど、
海側にも美しい大聖堂があったんだ。
そんなマルセイユにある現代建築が・・・
・・・Le Corbusier ル・コルビュジエのUnité d'habitation ユニテ・ダビタシオン。
それがこのミュージアムで再現されてる。 模型サイズじゃなくね。
モデルルーム訪問のよう。
入って来た玄関の方をみたところ。 玄関横にすぐキッチンがあり、リビングへ。
階段を上がると廊下があり、奥にベッドルームが2つ。
手前側にもうひとつ主寝室。 ちょうど食卓とキッチンの上あたり。
リビングは吹き抜けになってて、主寝室から下をのぞける。
リビングの端にはベンチ。 で、扉がありベランダ。
ル・コルビュジエ(1887-1965)は、スイスで生まれてフランスで活躍した建築家。
Auguste Perret オーギュスト・ペレの事務所にもいたんだそうな。
↑ モンテーニュ通りにあるThéâtre des Champs-Élysées シャンゼリゼ劇場を作った建築家。
私のお気に入りは、Villa Majorelle マジョレルの家。
アール・ヌーヴォー建築で、1898-1902年に建てられたもの。
フランス北東部のロレーヌ地域圏の街 Nancy ナンシー にある。
この家に住んでいたのが、Louis Majorelle ルイ・マジョレル。
映画『夏時間の庭』にも、作品の文机やガラス入った棚が登場したっけ。
それは、オルセー美術館所蔵のもの。
教会や大聖堂、現代建築以外にも、フレスコ画がたっぷり。
リブ・ヴォールトの天井にも。 リブ部分の装飾模様も可愛いかったり。
これが、あのシャイヨ宮の中だなんて。 再現技術がスゴイなぁ。
フランスの中央、サントル地域圏の街 Tavant タヴァンにある、
Église Saint-Nicolas サン=ニコラ教会のクリプト(地下聖堂)。
小さな階段を上がったり、細い廊下を抜ける迷路のようなシャイヨ宮をぐるぐる・・・。
キリストの背後に虹のように縞々に描かれてるのは、後光なのかな。
なんだか仏像の背後にある光背にも似て、仏教との共通点もある感じ。
Chapelle Notre-Dame de Pritz (Chapelle de Pritz)
プリッツのノートルダム礼拝堂にあるカレンダー(月の暦)の一部。
月ごとにどんな農作業をするのか描かれてる。
18世紀前半のもののよう。
下から2つめは9月。 木桶に入った人が、鎌のような農具を持ち、葡萄を食べてる。
収穫して、食べたり、ワインを仕込むのかな。
プリッツは、フランス西部のペイ・ド・ラ・ロワール地域圏にある街 Laval ラヴァルの近郊。
この天井に描かれた天使たちは、なんとなく今のイラストにも通じる感じもする。
ふと思い出す、北見隆の描く天使。
薄暗いお屋敷を探検するような感じで展示室を巡る。
一瞬にして別のフレスコが登場するので、次から次へワープしたかのような感覚。
フランスの中央高地のオーヴェルニュ地域圏にある街、
Le Puy-en-Velay ル・ピュイ=アン=ヴレの
Cathédrale Notre-Dame ノートルダム大聖堂にある Arts libéraux 。 リベラル・アーツ?
あれ・・・ここ、知ってる。
城壁の内側の右手前の突き出た部分、王女の塔でしょ。
シリアにある世界遺産、
Crak des Chevaliers クラック・デ・シュヴァリエ(意味:騎士の砦)。
シリアへは行ったことがないけれど、miffyさんのブログで以前紹介されてて、
そこを歩いてる気分に浸ったことがある。
なぜ、シリアのが?・・・と思ったら、
シリアは1920年にフランスの委任統治領になり、
フランスから独立してシリア共和国となったのは、1946年なんだそう。
その委任統治領の時に、フランスから調査団が訪れた模様。
フランス中央の東部寄りのブルゴーニュ地域圏にある街 Sens サンスの
Cathédrale Saint-Étienne サン・テティエンヌ大聖堂の
南の翼廊のステンドグラスの一部。
"Arbre de Jessé" 『エッサイの樹』。
木の根元にいるのが、エッサイ。 ダビデの父で、イエス・キリストの両親の祖先。
木の上に行くにつれ、枝分かれしてる先に子孫が、一番上にイエス・キリストが描かれる。
一種の家系図みたいなもののよう。
大きな丸天井の下で展示されてたのが・・・
・・・エッフェル塔の模型など、シャイヨ宮のあるあたりについてのもの。
ケースの中、四隅に燭台みたいなのがついてるということは、
暗くても見えるように、照明のためのキャンドルが置けるということかしら・・・。
単なる飾り?
右は、1889年のパリ万国博覧会の頃かな。
今、シャン・ド・マルス公園になってるエッフェル塔の向こう側には、丸屋根の味のある建物が。
左のモノクロのには、下に "Les étrangers à Paris"(パリの外国人)と題されてた。
Ancien Palais du Trocadéro 旧トロカデロ宮。
2つの翼に2つの塔。 模型は中が見えるようになっていて、ホールにはパイプオルガンが。
現在のシャイヨ宮が建つ前に、この場所にあった旧トロカデロ宮は、
1878年のパリ万国博覧会を機に建てられたもので、1935年に解体された。
これを建てた建築家のひとりが、
Gabriel Davioud ガブリエル・ダヴィウ(1824-1881)。
あれ・・・この人って・・・噴水とか泉を作ってた人?と過去記事探すと、あった、あった。
旧トロカデロ宮の前の庭も形を変えた。 現在、オルセー美術館の前にある六大陸の像や、サイ、ゾウ、馬の像も、
元はここにあったもの。
アルフレッド・ジャックマール(1824-1896)の『サイ』
エマニュエル・フレミエ(1824-1910)の『罠にはまった若い象』
ピエール・ルイ・ルイヤール(1820-1881)の『馬と落とし格子』
あと1体、Auguste Cain オーギュスト・カン(1821-1894)によるBœuf 牛の像は、
フランス南部のラングドック=ルシヨン地域圏にある街 Nîmes ニームへ。
それから、泉にあった彫刻家ロダンの作品"Mascarons" マスカロンは、
パリから南に行ったParc de Sceaux ソー公園に。 ↑ 口から水を吐く顔。
これから、どんな風に変わっていくんだろうな、パリ。
ざっと駆け足で観た建築・文化財博物館。
とっても面白かったけど、意外となかったのが地方の住居。
小さな国のオランダですら、地方色豊かな家屋が多かったから、
大きな国のフランスなら、もっと地域によって異なる農家や民家があるはず、と思ったのに。
有名な建築物が多すぎて、ごく普通の暮らしの住居は珍しくないんだろうか。
※ 地方の家が観られるオランダ屋外ミュージアムの記事は、こちらと、こちら。
子供の頃から、広告で家の間取り図を見るのが大好きだった。
建築家、画家、音楽家・・・
あーっ、何か創造出来る人たちって
すごいんだなぁって
憧れるんだなぁ。ヾ(*´∀`*)ノ
by ぷーちゃん (2012-03-09 22:48)
様々な模型が面白いですね。
模型とか見ているのがとても好きです。
時間を忘れて見てしまいますね。
by HIROMI (2012-03-09 23:41)
わたしも週末にドサッと入ってくる不動産会社のチラシ、子どものころから好きでした♪ 今も購入予定はさらさらないのに、「この家のいいけど、ここに窓があったら最高なのになぁ」とか「収納が少なすぎ!」とかダメだしをしては楽しんでます。
by バニラ (2012-03-10 06:56)
こえからどんな風な景色に変わっていくんでしょうね~。
新しいものと古いものも共存、見たいな。
by ぴーすけ君 (2012-03-10 11:53)
模型なのに、すごく精巧に作られていますね。
リブ・ヴォールトの天井は、ファンタジックで素敵です^^
by アールグレイ (2012-03-10 19:57)
私も広告の間取りチェックするの好きですよ~♪ 住む訳でもないのにわくわくしますよね。
by 母ちゃん (2012-03-11 08:31)
古いものだけでなく他宗教のものも再利用して新しいものを作っていくのって素晴らしいですよね。
コルビジェの家は機能的で暮らしやすそうですよね。
クラック・デ・シュバリエの模型、精巧にできてますね~
崩れかけてる部分までも同じように作っていてスゴイです。
クラック・デ・シュバリエがあった辺りは今頃どうなってるのでしょうね。
早く自由に行き来出来る日がくればいいのですが・・・
by miffy (2012-03-12 18:13)
模型も素敵。
1枚目の写真も、面白いなぁ~。
by angie17 (2012-03-13 00:15)
ミニチュアの博物館っていうと、条件反射で思い出すのはマトローダム。
行ったことないけどInatimyさんの記事がとても印象的だったから。
シャイヨ宮もすごいねぇ・・・。
そういえば私も広告の間取りとか、洋館めぐりとか好きだから、ここに行ったら何時間でも楽しめそう♪
by noriko (2012-03-13 22:29)
→皆さま
『シャイヨ宮の翼の中で』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 模型を見てたらまた家のプラモデルが作りたくなってきたかも。 ドイツの鉄道模型のメーカーFALLERの。 買ったまま、引っ越し続きで作れなかったのが部屋の片隅に・・・。
→ぷーちゃんさま
なにかを作る人の想像力&創造力ってスゴイですよね。 自分が形にしたものが後世まで残っていく、いいなぁ。
→HIROMIさま
他にもたくさん模型がありました。 今の建物も、昔の教会のも。 木材の組み方を見てると、もう精巧で。 飽きることなく見られますね~。
→バニラさま
同じ、同じです~。 不動産屋さんのチラシ大好きです。 そう、ダメ出し♪ 玄関の横にすぐトイレはねぇ・・・とか、廊下が狭くて長すぎ・・・とか、西側のキッチンは暑そうだし・・・なんて買う予定もなく、今のところ引っ越す予定もないのに、たまに物件サイトで遊んでます♪
→ぴーすけ君さま
新聞見てたら(すらすら読めない・・・)、開発計画の話らしきものも載っていたりするので、この先どんなパリになるんだろう~。
→アールグレイさま
もし実際に模型のキットが売られてたら、どれか買っちゃいそう。 シャイヨ宮の中にこんな天井画があるなんて、と外からは全く想像がつきませんでした・・・・。 すごいミュージアム。
→母ちゃんさま
一緒~♪ 住むわけでもないのに、自分が住んだ時のこと想像して、使い勝手がどうなのか考えたりして、あっというまに時間が過ぎてしまいますね~。
→miffyさま
おかげさまで、ぱっと模型見た時に、あ、知ってる~って思いました♪ 私が昔シリアに行きたかった頃も危険な国として報道されてたし、今も毎日のニュースで流れてるし、穏やかになる日が早く来るといいですよね。 コルビジェの家は、マルセイユにある本物は一部ホテルにもなってるそうで泊まれるんですって♪
→angie17さま
他にもおびただしい数の模型が展示されてて、見たことがあるものだったりすると、その全貌に感動したり♪ ヘリコプターにでも乗って見てる感じでした~。
→norikoさま
マドローダム、行ったらきっと激写になるよ(笑)。 きっと今もどんどn新しい建築物が再現されてるかも♪ このシャイヨ宮のミュージアム、南翼には、また別のミュージアムがあるの。 そっちへもいつか行かないと・・・。
by Inatimy (2012-03-15 19:02)
面白い博物館ですね。
コルビジェのモデルハウス、歩いてみたいなあ…♪
ここでカタログ的に観て実物を観るの、
すごく良さそうですね☆
by ネム (2012-03-20 15:31)
→ネムさま
ル・コルビュジエの“モデルハウス”は、興味深かったです。 構造が面白くって。 お向かいさんの方まで上の階が伸びてるから、お向いさんは、下の階がこっちへ伸びてるのかな・・・なんて考えたりして。 撮った写真以外に山ほど模型がありました~。
by Inatimy (2012-03-21 18:53)
模型も遠近法で撮ると、リアルだなぁ。
パリはすこーしずつ変わって行くんだろうね。
すごくゆっくりとみんなが記憶しつつね。
建物達も、それぞれの変化を楽しんでいそうだね。
by カエル (2012-03-31 10:28)
→カエルさま
自分が小人の気分になって模型を撮ったり、植物を撮ったりするの、大好き。 私のアイコンも下から見上げたように撮った黄色のチューリップだし♪ パリも変わってないようで微妙な変化。 新しい建物もいくつか。 なんにせよ、ゴミのないキレイな街になってほしなぁ・・・なんてね。
by Inatimy (2012-04-02 17:52)