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夕方からの散歩・・・どこ行こう [フランス・パリ]

 「行きたいところがあったら、連れて行ってあげるよ。」

 誘いの言葉は、出かけるほんのきっかけ。
 BBQをする時の、着火剤のようなもの。

 頭の中では、その瞬間に、目的地までのルート検索が始まってる。
 道案内をするのは、いつも私の役目・・・。

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 お話は、2月の中旬になりかけの頃。 

 休日ぐらい、家でのんびりすればいいのに・・・と思うのに、
 どうも散歩の虫がムズムズするらしい。 そんなに落ち着かない家なんだろうか・・・。

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 夕方ふらふらとやって来たのは、小さなパッサージュ。 

 1828年に作られたPassage Bourg L'Abbé パッサージュ・ブール・ラベ

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 時計だと思ったら、時計じゃない。 1862年のものみたい。

 一本の針があり、文字盤には数字と目盛。
 tempête 嵐pluie 雨variable 天候不安定
 beau 晴れtres-sec 非常に乾燥 の表示を差すようになってる。

 これは、ブルドン管気圧計というもののよう。 
 1849年に、これを発明したのが、
 フランス人Eugène Bourdon ウジェーヌ・ブルドン(1808-1884)。

 この時は、“天候不安定”だった。 昔のお天気ステーションだねぇ。

 パッサージュ自体は、ほとんど開いてる店もなく、
 ランプも点いてないし、薄暗くって、寂れた感じ。 再開発中かな。

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 短くって、あっという間に反対側へ。 長さは47mほどなんだそう。

 東側出入り口は、Henri Blondel アンリ・ブロンデル(1821-1897)によるもの。
 1区のレ・アールにある丸屋根の建物、
 Bourse de commerce 商品取引所の建築家。

 ちなみにこのかた、Charles Garnier シャルル・ガルニエ(1825-1898)とも
 親戚関係があるらしい。 ↑ オペラ座ガルニエ宮を造った人。
 文書によってまちまちだけど、gendre 娘婿 とか、neveu 甥 とか、書かれてた。
 年齢的にも近いふたり、どっちが本当なんだろう・・・。

 出入り口の女像柱を作ったのは、Aimé Millet エメ・ミレ(1819-1891)。
 『五大陸』の中の一つの"L'Amérique du Sud" 南アメリカ の像の作者。
  ↑ かつて旧トロカデロ宮の庭にあり、現在はオルセー美術館前にある像。

 また同じ道を戻っていく。 だって、こっちがメインじゃなくて・・・

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 ・・・本当は、向かいにある、こちらを見に来たから。

 1825年にできたPassage du Grand-Cerf パッサージュ・デュ・グラン=セルフ

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 カラフルなショーウィンドー。 

 この向かいあたりには手芸屋さんもあった。 ガラス越しに商品チェック。
 だって、入ってしまえば、手ぶらでは出られない。 何か欲しくなって買うに決まってるからねぇ。

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 アーケードの上の方には、渡り廊下のような橋。 ガラス張りで明るい。

 一度、このパッサージュについてのTV番組を見たことがある。
 地上階から上にあがる階段があり、上部は普通の住居になってるらしい。 

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 オシャレな看板のメガネ屋さん。 あなたの美しき目のために・・・かな。
 ヴィンテージの眼鏡のスペシャリストだって。

 ユニークな看板は他にも。 カニがいたり、ゾウが顔を出してたり。

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 振り返ったところ。 一軒ずつ店を眺めて、通り抜けてきた。

 服やファッション小物、アート、雑貨屋さんや、アンティーク屋さん・・・と
 オシャレなディスプレイを見るだけでも楽しめる。 

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 抜けた先の出入り口は、さっぱりとシンプルで、
 そばには、車の通らない道のような、ちょっとした広場のような場所が。

 あてもないので、フラフラと小路を抜けて、
 食料品店やレストランの並ぶ賑やかなRue Montorgueil モントルグイユ通りを歩く。
 車が通らなかったから歩行者専用道路かな。 

 そろそろお腹も減って来た頃。 
 夕飯何作ろうかな、と考えながら、別の通りに交差したところで進路を東へ。
 途中、通りの隙間から見えたが気になり寄り道。

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 北上するうちに、言葉では上手く言えないけれど、ちょっと雰囲気が違うなと肌で感じる。
 この先へは行かないほうがいいかも、とここでストップ、引き返し。 

 これは、Porte Saint-Denis サン・ドニ門だったよう。
 1672年に舞踏好きの太陽王ルイ14世のために建てられた古い門で、建築家は、
 Nicolas-François Blondel ニコラス=フランソワ・ブロンデル(1618-1686)。

   ・・・先に登場したパッサージュ・ブール・ラベの東側出入り口を作った建築家も、
   ブロンデルだったけど、アンリ・ブロンデルとは関係がなさそう。

 歩いていたのは、Rue Saint-Denis サン・ドニ通り。 
  昔は娼婦街だったエリアなんだとか。
  確かに、この門の先から東駅、北駅あたりは治安があまり良くないそうな。

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 戻った道を東に向かうと、丸屋根の建物が。
 地上階はスーパーのモノプリ。 上の階は事務所として貸し出されてる。
 窓の装飾が美しい。

 ここは、Félix Potin フェリックス・ポタンの最初の店舗があったところ。
 創業者の名前がついた食料チェーン店。 今はもう存在しないけど。

  ※ モンパルナスタワー近く、レンヌ通りにあるフェリックス・ポタンの建物の話

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 さて、メトロに乗って帰ろうかな。

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 自転車屋さんにいた猫は、Kamoさん撮影のをトリミング。

 わずか1時間半足らずの散歩だったけど、気分転換にはちょうどいい。

 軒下にガラスの容器と花がぶら下がった枝があったのは、
 パッサージュ・デュ・グラン=セルフのカフェかレストランだった。

 店名 Le Pas Sage は、思慮深い歩み・・・ほどほどの歩み?
 ふふ、Le Passage の言葉遊びだね。

 

 ほんの少し歩いただけでも、パリ歴史がたくさん詰まってるなぁ。


nice!(34)  コメント(14) 
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コメント 14

ぴーすけ君

パッサージュ、NHKの「世界ふれあい街歩き」のフランスのDVDに
はいってるぅ~♪上に人が住んでるんですよね~。
by ぴーすけ君 (2012-03-16 21:08) 

アールグレイ

歴史を感じるおしゃれな所ですね。
アンティーク屋、雑貨屋さん、お洋服屋さんなどなど
見て廻るだけで、素敵な気分になったりしますね。
特にフランスにはそういった粋なお店が多いでしょうね。
by アールグレイ (2012-03-16 22:49) 

HIROMI

一枚目の写真は、作り物のカラスさんですか?
サッカーボールの上の小さな鳥さんも気になります。
by HIROMI (2012-03-16 23:15) 

めぎ

Inatimyさんの街歩き、いつも素敵ですね♪
ここのところずいぶん長いこと街を歩いていないなあ。
ほんと、休日はすっかり出不精になってしまいました。
by めぎ (2012-03-17 03:15) 

ぷーちゃん

街並がいい感じに
伝わってきますね〜♪
by ぷーちゃん (2012-03-17 21:02) 

chercher

パッサージュ、私もテレビで見たことがあります~♪
ウインドウショッピング楽しそうですね♪
by chercher (2012-03-17 21:14) 

MOCOMOCO

寒かったりお天気が悪くても、パッサージュなら楽しみながらお散歩できますね~^^
ショーウィンドウを見ているだけでも刺激があってワクワクしそうです♪
by MOCOMOCO (2012-03-17 21:48) 

arashi

散歩したいなぁ~...。
by arashi (2012-03-17 22:13) 

noriko

パッサージュは、それぞれに個性があって、違いを見つけて歩くのも楽しそう。
でも、キケンな雰囲気を感じたらそれ以上進まないっていうのも異国暮らしでは大事なことなんだね。


by noriko (2012-03-17 22:37) 

TaekoLovesParis

パっサージュは歴史のあるものが多くて楽しいですね。
手芸屋さんは、東京では少なくなって、不便だけど、パリにはまだ
いろいろあるんですね。
私には懐かしいフェリックス・ポタンです。
by TaekoLovesParis (2012-03-18 00:06) 

luces

楽しそうな散歩コースですね。
by luces (2012-03-19 13:20) 

Inatimy

→皆さま 
『夕方からの散歩・・・どこ行こう』のお話に、たくさんのnice! & コメントありがとうございます。 本当なら、オランダでのように自転車にでも乗って牛や馬や羊なんかを見に行きたいところだけれど、パリですもんねぇ・・・と、いつも困る。 どこ行っても人多いし。 春になって、ますます観光客増えてきたかな。

→ぴーすけ君さま 
そうそう、それかも、私が見たの「世界ふれあい街歩き」。 中嶋朋子が出てたっけ。 オペラ座の前の通りから始まるんでしたよね。

→アールグレイさま 
このパッサージュは楽しいお店が多かったです。 ショーウィンドーを眺めたり、お店に入って中を見せてもらうだけでも思わぬものに出会って。 思わず買いそうになるのを抑えて、また今度、ご縁があれば、とぐっと我慢。 雑貨好きだからものがあれこれ増えてしまって・・・。

→HIROMIさま 
一枚目の写真は、壁に取り付けられた作りもののカラスさんとニワトリさんのシルエットです。 こういった遊び心がまた面白い♪

→めぎさま 
散歩が街ばかりで、たまに牛や羊が恋しくなります・・・。 休日は家でのんびりしたいけど、エネルギー消費したいと落ち着かないものが1名いるので、お腹をすかせるために散歩にかりだされ・・・。 クタクタになってから夕飯作るの、面倒なときがあります・・・。

→ぷーちゃんさま 
少し歩けば危ないところもたくさんあるパリなので、その見極めが大事ですね~。 危険に近寄らないようにしないと・・・。 サン・ドニ門あたりは、先日も何かあったようで新聞に記事が。

→chercherさま 
ここは、ちょっとふらりと時間を過ごすには、とってもいい気分になるパッサージュでした。 雑貨屋さんに珍しいものがたくさんあって。 手芸屋さんもあるし♪

→MOCOMOCOさま 
天気が悪くても足元や傘を機にせず歩けるのはいいですよね~。 風もさえぎってくれるし。 大きなショッピングモールも刺激的だけど昔ながらのパッサージュも、ちょっぴり散歩するにはもってこいでした♪

→arashiさま 
パリの商店街散歩、いくつかパッサージュがあり、雰囲気も全く異なるので、お気に入りを見つけるのもいいかもしれませんね~。

→norikoさま 
常に身の回りに気をつけてないと、パリは危険がいっぱいで。 スリ集団も多いし。 うっかり迷いました、では、済まないところもあったりで。 場所も時間帯も、要注意。 

→TaekoLovesParisさま 
手芸屋さん、結構ありますよ。 ラ・ドログリーみたいなおしゃれで専門的なものや、布の卸屋さんのようなところ、かと思えば、毛糸と下着を一緒に売ってる庶民的なところまで♪ フェリックス・ポタン、Taekoさんにとっては、いい思い出がよみがえる要素のひとつなのかしら♪ 

→lucesさま 
楽しかったです♪ でも相変わらず、飲まず食わずで(笑)。 これでカフェやサロン・ド・テでゆったりする勇気でもあれば、また違うんでしょうねぇ・・・へへ。 
by Inatimy (2012-03-21 19:30) 

カエル

地下鉄の案内は日本の影響を受けてできたアールヌーヴォー調だね♪
肌で感じる危ないゾーンはやっぱり要注意ですね。
気を抜いた時にやっぱり何かあるかもだものね。
そのアンテナはずっと持っておかないとだな。
by カエル (2012-03-31 10:35) 

Inatimy

→カエルさま 
暖かくなって観光客が増えるとともにスリも増加みたい。 メトロの中にもたくさんいるそうな。 危ない雰囲気のところへも近寄らないのが一番よね。 用心、用心。 遡ってコメントくれてありがとう♪ 嬉しいよ~。
by Inatimy (2012-04-02 17:40) 

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